消化器外科のご案内
●上部消化管領域胃癌に対しては、基本的に胃癌治療ガイドラインを遵守し治療を行っています。早期胃癌の治療には胃切除(縮小手術)が適応となり、近年腹腔鏡手術を導入、施行しています。癌の根治性を十分に確保した上で術後の疼痛も軽減し創痕も目立ちにくくなります。また、進行胃癌に対しては、手術に加えて化学療法を導入しています。導入により切除困難と考えられていたものが切除できるようになったり、根治性が上昇する可能性が報告されています。GISTに関しては、局所切除の適応になることが多く、腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)の導入により切除範囲を最適化し、機能温存と形状保持を目指しています。局在、発育形態、腫瘍径に基づいて、術式を選択しています。
2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | |
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根治切除 | 26 | 34 | 34 | 37 | 34 |
(腹腔鏡) | (8) | (9) | (14) | (4) | (1) |
非切除 | 5 | 3 | 6 | 5 | 1 |
(バイパス) | (1) | (1) | (4) | (4) | (1) |
(試験開腹他) | (4) | (2) | (2) | (1) | (0) |
合計 | 31 | 37 | 40 | 42 | 35 |
●下部消化管領域大腸癌に対しては積極的に腹腔鏡手術を取り入れ、内視鏡外科技術認定医(大腸領域)のもと、腹腔鏡の利点である拡大視効果を最大限に利用し、出血を抑え、確実なリンパ節郭清を施行しています。また創が小さいことから術後の疼痛も少なく、早期離床・早期退院が可能となりました。2018年には76.3%の症例を腹腔鏡にて施行し、適応を拡大しておりますが、個々の症例に応じて安全性、根治性を吟味しつつ適応を決定し施行しています。
また、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患や虫垂炎などの良性疾患に対しても腹腔鏡手術を施行しています。
進行再発大腸癌に対しての化学療法は遺伝子検査等を施行し、ガイドラインに準じて個々に適した薬剤を選択して治療を行なっています。
2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | |
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腹腔鏡 | 76 | 73 | 58 | 66 | 34 |
開腹 | 16 | 25 | 18 | 24 | 48 |
合計 | 92 | 98 | 76 | 90 | 82 |
腹腔鏡率 | 82.6% | 74.5% | 76.3% | 73.3% | 41.5% |
●肝胆膵領域当科では原発性肝癌、転移性肝癌、胆管癌、膵臓癌に対しても積極的に手術を施行しております。また化学療法、放射線治療も組み合わせた集学的治療を取り入れております。
2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | |
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肝癌 | 5 | 6 | 6 | 2 | 6 |
胆道癌 | 5 | 8 | 8 | 4 | 7 |
膵癌 | 19 | 5 | 8 | 9 | 8 |
合計 | 29 | 19 | 22 | 15 | 21 |
●胆石症胆嚢結石症、胆嚢炎に対して年間100例近くの手術を行っております。
当科では患者さんに優しい腹腔鏡を用いた手術を心掛けています。
2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | |
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腹腔鏡下胆嚢摘出 | 67 | 71 | 101 | 73 | 80 |
開腹下胆嚢摘出 | 13 | 16 | 18 | 15 | 22 |
合計 | 80 | 87 | 119 | 88 | 102 |
●ヘルニア(鼠径・大腿・閉鎖孔ヘルニア)ヘルニアとは足の付け根あたりからお腹の中の腸などが飛び出したものであり、いわゆる「脱腸」のことです。年間80例近くの手術を行っており、腰椎麻酔でのヘルニア修復術を行います。近年では全身麻酔での腹腔鏡を用いたヘルニア修復術も盛んに行っております。
2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | |
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腹腔鏡下ヘルニア修復 | 49 | 62 | 37 | 35 | 4 |
前方、その他 | 38 | 29 | 37 | 36 | 70 |
合計 | 87 | 91 | 74 | 71 | 74 |
他、消化管穿孔、イレウス、急性虫垂炎など、緊急手術を年間70-80例施行しております。