病院指標について
厚生労働省において検討された全国統一様式による病院指標について本院のデータを以下のとおり公開いたします。
本指標は、令和3年度中の退院患者についての統計であり、一般病棟に1回以上入院した患者を対象にDPC調査データ(様式1、様式4、Dファイル)を基に集計しております。
患者数が10未満の数値の場合は、(ハイフン)を掲載しています。
- 年齢階級別退院患者数
- 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 脳梗塞の患者数等
- 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数
年齢区分 | 0~ | 10~ | 20~ | 30~ | 40~ | 50~ | 60~ | 70~ | 80~ | 90~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
患者数 | 598 | 123 | 203 | 353 | 474 | 763 | 1,514 | 2,166 | 1,432 | 406 |
当院は地域の急性期医療を担う役割を有している病院ですが、新型コロナウイルス感染症流行による一般病床削減の影響を受け、回復傾向にはあるものの、令和3年度DPC対象者は8,032人でした。特に小児患者の激減が影響して、患者年齢層のピークは令和2年度と同様、70歳代をピークとする高齢者集団の入院増加となっています。小児もいくらか増えていますが、コロナ禍以前の状態には戻っていません。60代以降の年代で合計5,518例(69%)と入院患者の高齢化が目立ちます。各年代別で多い疾患を見ると、
10歳未満では小児喘息に続いて令和3年度はRSウイルス細気管支炎が多くなっています。
10代では急性虫垂炎は1位ながら減少し、2位にCOVID-19が入っています。
20代ではCOVID-19が最多。妊娠に関連した疾患、慢性扁桃炎が多く見られました。
30代では胎児機能不全、子宮頚部異形成など産婦人科系疾患が多いものの、COVID-19も3位に入っています。
40代では子宮筋腫、子宮頚部高度異形成など婦人科疾患のほか、COVID-19が3位です。
50代では結腸ポリープ、尿管結石症、狭心症、末期腎不全などが多くなっています。
60代では結腸ポリープ、末期腎不全、肺癌、狭心症、前立腺癌の順となっています。
70代では肺癌が169例と最も多く、ついで、結腸ポリープ、狭心症、末期腎不全となっています。
80代以降ではうっ血性心不全が最多で、ついで末期腎不全、誤嚥性肺炎、狭心症が主要な疾患です。
年代別に多い疾患を知ることで、ご自分の健康管理の参考にしていただければと思います。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
110280xx9900xx | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 | 101 | 10.40 | 10.39 | 2.97 | 58.72 | |
110280xx02x00x | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全(内シャント設置術等) | 95 | 12.66 | 7.87 | 6.32 | 71.58 | |
10007xxxxxx1xx | 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く)(インスリン製剤(注射薬)) | 50 | 13.10 | 14.41 | 2.00 | 64.04 | |
110280xx9901xx | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全(人工腎臓 その他の場合) | 37 | 20.22 | 13.74 | 5.41 | 71.19 | |
110310xx99xxxx | 腎臓または尿路の感染症 | 25 | 14.64 | 13.14 | 8.00 | 77.04 |
症例数第1,4位は、慢性腎炎症候群の診断のための腎生検およびその加療や、内シャント設置術をすでに行っている方の透析導入、維持透析患者さんの合併症の入院が含まれています。症例数2位は、血液透析導入目的で内シャント設置術、維持透析患者さんのシャントトラブルによる再内シャント設置術が含まれています。症例数5位は、尿路感染症の治療のための入院を行っています。内科(腎臓)では、慢性腎炎症候群の診断、加療、慢性腎不全の内シャント設置術や透析導入、維持透析の合併症の入院が多くなっています。
症例数3位は、2型糖尿病患者さんの血糖コントロールおよび糖尿病教育目的での入院となっています。内科(糖尿病内分泌)では、2型糖尿病とともに1型糖尿病患者さんの入院治療も行っています。
呼吸器内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
040040xx9910xx | 肺の悪性腫瘍(気管支鏡検査等) | 103 | 2.36 | 3.30 | 0.00 | 70.52 | |
040040xx99041x | 肺の悪性腫瘍(化学療法あり)(副傷病名あり) | 49 | 16.47 | 14.96 | 0.00 | 69.90 | |
040040xx99040x | 肺の悪性腫瘍(化学療法あり)(副傷病名なし) | 30 | 12.87 | 9.07 | 0.00 | 71.60 | |
040110xxxxx0xx | 間質性肺炎 | 30 | 15.67 | 18.42 | 0.00 | 73.60 | |
040150xx99x0xx | 肺・縦郭の感染、膿瘍形成 | 19 | 25.89 | 22.84 | 21.05 | 68.42 |
呼吸器内科では肺の悪性腫瘍、主に肺癌の患者さんが多くなっており、症例数1,2,3位が肺癌に関するものです。症例数1位の〈肺の悪性腫瘍〉については、気管支鏡検査目的の入院であるため平均在院日数が短くなっています。症例数2,3位の〈肺の悪性腫瘍〉については化学療法など治療目的の入院であるため、平均在院日数がやや長めで平均年齢は約70歳となっています。症例数4位の〈間質性肺炎〉はステロイド導入など入院での治療期間がやや長くなるため、在院日数がやや長期化する傾向があります。症例数5位の〈肺・縦郭の感染、膿瘍形成〉については肺炎よりも抗菌薬の投与期間が長くなる肺膿瘍などであるため、在院日数が長くなっています。また入院加療の長期化に伴いADLが低下する症例も多く、リハビリを含めた転院率が高くなっています。
消化器内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060100xx01xxxx | 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) | 363 | 3.24 | 2.65 | 0.55 | 66.29 | |
060340xx03x00x | 胆管(肝内外)結石、胆管炎 | 130 | 9.93 | 9.21 | 7.69 | 77.87 | |
060020xx04xxxx | 胃の悪性腫瘍(内視鏡的胃ポリープ・粘膜切除術等) | 56 | 10.95 | 7.96 | 1.79 | 72.98 | |
06007xxx97x00x | 膵臓、脾臓の腫瘍 | 38 | 12.00 | 11.68 | 10.53 | 76.00 | |
060050xx97x0xx | 肝・肝内胆管の悪性腫瘍 (続発性を含む) | 30 | 11.57 | 10.48 | 6.67 | 73.27 |
消化器内科の最も多い症例は、大腸ポリープや大腸腫瘍に対する内視鏡切除であり、短期的・低侵襲的に加療を実施します。次いで胆管結石や胆管炎といった胆道疾患があげられます。胆石で胆管が詰まって炎症が生じた場合は、チューブで胆汁の流出路を確保する(ステント留置)、胆石を除去する(乳頭切開術)などの内視鏡治療を行います。消化管の内視鏡治療として、胃がんに対する治療があります。早期胃がんに対して上部消化管内視鏡を用いて治療を行います。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が主な治療法となっています。膵臓の悪性腫瘍症例が増加傾向にある印象です。消化器内科で精査を行い、外科へ紹介し手術を行う症例や消化器内科のままで化学療法で治療を行っています。肝・肝内胆管の悪性腫瘍に対して、局所治療、化学療法、胆道ドレナージ術を症例/病態に応じて実施しています。胆嚢炎に関しては胆石が原因であることが多く、保存的加療、経皮ドレナージ、手術などで治療を行います。コロナ禍で症例数が少なくなっていた令和2年度と比較し、全体的に症例数が多くなっています。
循環器内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
050050xx9910xx | 狭心症、慢性虚血性心疾患(心臓カテーテル検査等) | 188 | 2.38 | 3.06 | 1.60 | 69.30 | |
050050xx0200xx | 狭心症、慢性虚血性心疾患(経皮的冠動脈ステント留置術等) | 126 | 4.31 | 4.36 | 0.79 | 71.39 | |
050130xx9900xx | 心不全 | 122 | 14.98 | 17.35 | 11.48 | 83.64 | |
050030xx97000x | 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む)、再発性心筋梗塞 | 46 | 15.13 | 11.87 | 2.17 | 70.39 | |
050210xx97000x | 徐脈性不整脈 | 44 | 11.32 | 10.24 | 4.55 | 79.66 |
循環器内科の診断群分類の上位は、虚血性心疾患に対する検査・治療(PCI)、心不全の検査・治療、徐脈性不整脈に対するペースメーカー移植術が占めています。
リウマチ科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
070560xx99x00x | 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患(手術・処置なし) | 48 | 22.98 | 14.47 | 8.33 | 66.65 | |
070470xx99x0xx | 関節リウマチ | - | - | 15.50 | - | - | |
070560xx99x01x | 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患(副傷病あり) | - | - | 24.06 | - | - | |
040081xx99x0xx | 誤嚥性肺炎 | - | - | 20.57 | - | - | |
070560xx97xxxx | 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患(手術あり) | - | - | 36.13 | - | - |
令和3年度のリウマチ科の特徴としては、全身性自己免疫疾患の入院症例が令和2年より12例増加していることです。なかでもANCA関連血管炎(初発や再燃)の入院がより増加しました。血管炎症例は高齢発病や合併症併発例が多く、また肺胞出血などの重篤例には血漿交換療法などの集学的治療を行うため、平均在院日数が長くなり、神経障害や廃用性筋力低下にてリハビリ目的の転院症例が増えています。全身性エリテマトーデスへの新薬の導入や難治性の皮膚筋炎・多発性筋炎へのガンマグロブリン大量点滴、ANCA関連血管炎へのリツキシマブ投与の治療症例が増え、在院日数は短縮しています。関節リウマチは関節炎の急性増悪や間質性肺炎などの合併症を伴う高齢者の入院です。今後も早期に治療介入(生物学的製剤や分子標的薬剤)と理学療法を行い、早期退院を目指します。
小児科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
040090xxxxxx0x | 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) | 159 | 5.92 | 5.83 | 0.00 | 1.18 | |
040100xxxxx00x | 喘息 | 108 | 6.69 | 6.24 | 0.00 | 1.79 | |
060380xxxxx00x | ウイルス性腸炎 | 27 | 4.04 | 5.53 | 0.00 | 4.44 | |
110310xx99xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 | 20 | 7.80 | 13.14 | 0.00 | 0.45 | |
180030xxxxxx0x | その他の感染症(真菌を除く) | 19 | 5.58 | 10.47 | 0.00 | 2.89 |
当院では、地域の開業医の先生方(主に小児科医)と連携をとりながら診療を行っています。
当科で最も多い症例は肺炎、急性気管支炎、喘息などの呼吸器疾患で乳児例も多くなっています。次に多いのがウィルス性腸炎などの消化器疾患など、感染症によるものが半数以上です。
そのほとんどがかかりつけ医からの紹介による緊急入院で、必要に応じて抗生剤点滴、酸素使用などによる入院治療を行っています。退院後は、かかりつけ医への逆紹介のうえ、外来での経過観察をお願いしております。
その他、当院および地域の産婦人科医とも連携をとり、呼吸障害や感染症などで入院管理が必要な新生児の対応も行っています。
外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060160x001xxxx | 鼠径ヘルニア(15歳以上) | 59 | 6.71 | 4.74 | 1.69 | 69.85 | |
060335xx02000x | 胆嚢炎等 | 57 | 8.09 | 7.11 | 0.00 | 64.39 | |
060035xx010x0x | 結腸の悪性腫瘍 | 51 | 18.20 | 15.76 | 7.84 | 71.27 | |
060330xx02xxxx | 胆嚢疾患(胆嚢結石など) | 34 | 7.15 | 6.25 | 2.94 | 63.41 | |
060150xx03xxxx | 虫垂炎 | 26 | 6.15 | 5.40 | 0.00 | 36.62 |
鼠径ヘルニアに対しては、腹腔鏡下の手術を主体に行っています。
癌に対する手術で最も多いのは結腸癌に対する結腸切除術です。その多くを腹腔鏡下手術にて行っています。
胆嚢結石等に対してもそのほとんどを腹腔鏡を用いて施行しております。
虫垂炎に対しては、症例によっては抗生剤にて治療を行った後に待機的に腹腔鏡下手術を行う症例もあります。
総じて、腹腔鏡を用いた手術を中心に行い、できるだけ患者さんにやさしい手術を心がけています。
整形外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
160800xx01xxxx | 股関節・大腿近位の骨折 | 63 | 21.05 | 25.32 | 76.19 | 86.16 | |
160690xx99xxxx | 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む) | 22 | 17.86 | 19.34 | 81.82 | 79.73 | |
160760xx97xx0x | 前腕の骨折 | 22 | 7.59 | 4.99 | 0.00 | 61.91 | |
070230xx01xxxx | 膝関節症(変形性を含む) | 21 | 24.81 | 23.02 | 47.62 | 73.67 | |
07040xxx01xxxx | 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む) | 13 | 27.23 | 20.63 | 30.77 | 70.23 |
当院整形外科では、高齢化に伴う骨粗鬆症関連の大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折(前腕骨折)、胸・腰椎圧迫骨折による入院患者が多くなっていました。令和4年度より、手外科専門の医師が増員したため、TFCC損傷などの手外科手術が増加することが予想されます。
脳神経外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
160100xx97x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷(手術あり) | 14 | 10.00 | 9.78 | 21.43 | 76.21 | |
160100xx99x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷(手術なし) | 13 | 11.85 | 8.30 | 15.38 | 52.38 | |
010010xx9900xx | 脳腫瘍 | - | - | 22.67 | - | - | |
010230xx99x00x | てんかん | - | - | 7.22 | - | - | |
010060x2990201 | 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内かつJCS10未満) | - | - | 15.57 | - | - |
脳神経外科は脳神経内科と協力して脳卒中診療を主体に診療を行っています。大きな手術やカテーテル治療を要する場合は近隣の高次施設と連携をとって迅速に対応しています。最も入院数が多いのは比較的軽症で手術を要さない頭部外傷ですが、穿頭術やドレナージ等の局所麻酔で行える手術は施行しています。入院期間は全国平均とほぼ同じですが、脳腫瘍は転移性が多いこと、頭蓋内損傷で手術無しの症例は高齢者が多いことから、入院期間が長くなっています。
呼吸器外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
040040xx97x00x | ①肺の悪性腫瘍(手術あり) | 42 | 15.79 | 10.47 | 0.00 | 69.50 | |
090010xx02xxxx | ②乳房の悪性腫瘍(腋窩部郭清を伴わない手術) | 41 | 10.61 | 5.88 | 0.00 | 65.93 | |
090010xx010xxx | ③乳房の悪性腫瘍(腋窩部郭清を伴う手術等) | 25 | 14.36 | 10.15 | 4.00 | 61.32 | |
090010xx99x4xx | ④乳房の悪性腫瘍(化学療法) | 25 | 8.00 | 3.94 | 0.00 | 55.24 | |
090010xx99x0xx | ⑤乳房の悪性腫瘍(手術・処置なし) | 16 | 7.69 | 9.61 | 0.00 | 65.25 |
①は、原発性または転移性肺癌に対して、根治的な切除手術を行った方です。
②は、乳がんに対する手術として、乳房温存手術でセンチネルリンパ節の転移なく、腋窩リンパ節郭清を行わなかった方です。
③は、乳がんに対する手術として、胸筋温存乳房切除または部分切除と腋窩リンパ節郭清を行なった方です。術後のドレナージが必要で、また乳房切除では創部の注意深い観察と肩関節の拘縮予防のためのリハビリ、郭清のためのリンパ浮腫予防の指導などを行うため、入院がやや長くなっています。
④は、乳がんの術前薬物療法の初回などで、副作用の管理と指導などのため、入院で治療しています。
⑤は、薬物治療中に発熱性好中球減少などで入院になった方と、乳がんの再発・癌性疼痛などで入院し緩和治療の導入など行った方です。
産婦人科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
120010xx99x50x | 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 | 50 | 3.70 | 4.23 | 0.00 | 62.12 | |
120070xx02xxxx | 卵巣の良性腫瘍 | 50 | 7.04 | 6.11 | 0.00 | 47.40 | |
120260xx01xxxx | 分娩の異常 | 50 | 10.14 | 9.38 | 2.00 | 31.48 | |
12002xxx99x40x | 子宮頸・体部の悪性腫瘍 | 40 | 4.13 | 4.34 | 0.00 | 65.10 | |
120090xx97xxxx | 生殖器脱出症 | 36 | 7.39 | 8.31 | 0.00 | 71.78 |
眼科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
020110xx97xxx1 | 白内障、水晶体の疾患(両側) | 32 | 2.97 | 4.83 | 0.00 | 75.69 | |
020110xx97xxx0 | 白内障、水晶体の疾患(片側) | 20 | 2.80 | 2.71 | 0.00 | 74.55 | |
020220xx97xxx0 | 緑内障 | - | - | 5.41 | - | - | |
020240xx97xxx0 | 硝子体疾患 | - | - | 5.36 | - | - | |
020210xx01x0xx | 網膜血管閉塞症 | - | - | 9.10 | - | - |
月曜午後に外来、木曜午後に手術を行っています。手術は白内障手術が主ですが、緑内障、硝子体手術も行います。外来、手術の日程が少ない割には手術件数は少なくないです。
耳鼻咽喉科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
030390xx99xxxx | ①顔面神経麻痺 | 26 | 8.31 | 9.01 | 0.00 | 59.85 | |
030230xxxxxxxx | ②扁桃、アデノイドの慢性疾患 | 23 | 8.70 | 7.84 | 0.00 | 22.35 | |
030428xxxxxxxx | ③突発性難聴 | 21 | 7.29 | 8.75 | 0.00 | 58.52 | |
030350xxxxxxxx | ④慢性副鼻腔炎 | 18 | 7.22 | 6.47 | 0.00 | 61.78 | |
030240xx99xxxx | ⑤扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 | 17 | 7.47 | 5.71 | 0.00 | 57.12 |
①顔面神経障害
末梢性の顔面神経麻痺の中等度から高度の麻痺に関しては、発症1週間以内にステロイド・抗ウイルス薬加療を開始すると有効と言われています。当院では入院を1週間ほどして頂きステロイド・抗ウイルス薬投与を行っています。
②扁桃・アデノイドの慢性疾患
幼小児期の扁桃・アデノイド肥大は、いびき・呼吸困難の原因となり、また難治性の滲出性中耳炎の原因にもなり、手術適応になる場合があります。成人の慢性扁桃炎も感染を繰り返す場合には予防目的に手術適応となります。
③突発性難聴
感音難聴の中でも、急性に発症する難聴は加療によって治癒する可能性があります。重症例では、めまいを伴うこともあります。急性期に受診された症例(発症2週間以内)には、入院の上でステロイドホルモンの点滴加療(約1週間)をお勧めしています。
④慢性副鼻腔炎
慢性副鼻腔炎の保存加療にて治癒困難例に対し、入院の上で全身麻酔下に内視鏡下手術を行っています。症例の重症度に合わせて各手術形式の適応を判断しています。
⑤扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽喉頭炎
耳鼻咽喉科領域の急性疾患の多くは上気道炎で、その中でも急性扁桃炎・扁桃周囲膿瘍は嚥下困難・呼吸困難度の症状により入院加療が必要になる事が多く、重症例では切開排膿の処置も必要になります。ほとんどの症例では抗生剤などの点滴加療で保存的に治癒が可能です。
脳神経内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
010110xxxxx4xx | 免疫介在性・炎症性ニューロパチー | 21 | 8.52 | 16.11 | 0.00 | 78.19 | |
010230xx99x00x | てんかん | 16 | 3.50 | 7.22 | 12.50 | 51.00 | |
010060x2990401 | 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) | 14 | 13.29 | 15.63 | 28.57 | 71.14 | |
010155xxxxx0xx | 運動ニューロン疾患等 | 14 | 4.79 | 13.83 | 0.00 | 70.79 | |
010130xx99x0xx | 重症筋無力症 | - | - | 13.33 | - | - |
当科の入院患者の特徴として脳血管障害、てんかんや運動ニューロン疾患等、炎症性ニューロパチー等、全般的に偏りなく診療していることが挙げられます。ただし、慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、免疫グロブリン療法を維持療法として使用してる患者がおり、入院患者数の増加に関与しているようです。一過性脳虚血発作やてんかん等の急性期疾患も増加傾向にあります。ほぼ全国平均と同程度の在院日数となっています。
皮膚科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
080007xx010xxx | 皮膚の良性新生物 | 61 | 2.07 | 4.01 | 0.00 | 58.59 | |
080020xxxxxxxx | 帯状疱疹 | 43 | 6.67 | 9.22 | 4.65 | 69.72 | |
080006xx01x0xx | 皮膚の悪性腫瘍 | 30 | 2.93 | 7.68 | 0.00 | 79.07 | |
080010xxxx0xxx | 膿皮症 | 28 | 15.75 | 13.07 | 3.57 | 63.11 | |
080190xxxxxxxx | 脱毛症 | 12 | 3.00 | 3.36 | 0.00 | 46.75 |
皮膚の良性・悪性腫瘍に対する手術を入院の上、手術室で行っています。帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウィルスの再活性化により体の片側に痛みを伴う水疱が出る病気で、しばしば入院加療を行っています。急性膿皮症の多くは丹毒、蜂窩織炎といった皮膚の細菌感染症であり、高熱が出たり腫脹や痛みが強い場合には入院して抗生剤の点滴治療を行っています。進行性の脱毛症に対するステロイドパルス療法を入院で行っています。
その他にアトピー性皮膚炎、急性蕁麻疹、薬疹、水疱症、難治性皮膚潰瘍などに対して入院管理を行っています。
泌尿器科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
110080xx991xxx | 前立腺の悪性腫瘍(前立腺針生検) | 115 | 3.39 | 2.50 | 0.87 | 71.79 | |
110070xx03x0xx | 膀胱腫瘍(膀胱悪性腫瘍手術) | 104 | 9.88 | 7.02 | 1.92 | 77.52 | |
11012xxx04xxxx | 上部尿路疾患(体外衝撃波腎・尿管結石破砕術) | 83 | 4.14 | 2.59 | 1.20 | 59.42 | |
11012xxx020x0x | 上部尿路疾患(経尿道的尿路結石除去術) | 76 | 9.55 | 5.56 | 1.32 | 66.09 | |
110310xx99xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 | 24 | 9.79 | 13.14 | 0.00 | 67.58 |
令和2年度とほぼ同等の結果で、前立腺悪性腫瘍については前立腺針生検による入院精査が反映されています。1泊2日入院のクリティカルパスで運用を行っています。膀胱腫瘤、上部尿路疾患(尿路結石)の患者数は県内で上位に入る数です。在院日数が全国平均より長めですが、ご高齢の方が多いこと、また、島原半島などの遠隔地より来院されており、退院後、外来通院がやや困難である事が原因です。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
初発 | 再発 | 病期分類 基準(※) |
版数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||||
胃癌 | 60 | - | - | 31 | 14 | 11 | 1 | 8 |
大腸癌 | 47 | 32 | 52 | 31 | - | 17 | 1 | 7,8 |
乳癌 | 33 | 46 | 13 | - | - | 18 | 1 | 8 |
肺癌 | 42 | 26 | 46 | 83 | 25 | 91 | 1 | 8 |
肝癌 | - | - | 10 | - | - | 19 | 1 | 8 |
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
・胃癌は全体として発症患者が減少傾向にありますが、さらに半数は早期に発見されて内視鏡的に切除されるているようです。
・大腸癌は依然発見時、早期癌から進行癌まで広く分散しています。依然、外科治療が中心ですが薬物療法も進歩しており、進行例、再発例の多くで薬物療法が施行されています。
・乳癌は初回治療の多くが外科で手術を受けられていますが、再発後は外来で薬物療法を続ける患者さんが非常に多いようです。
・肺癌も発見時、早期の癌から進行癌まで広く分散していますが、最初から根治困難なstageⅣな患者さんが非常に多いようです。
・肝癌は全体の発生数に増加は見られないようです
成人市中肺炎の重症度別患者数等
患者数 | 平均 在院日数 |
平均年齢 | |
---|---|---|---|
軽症 | - | - | - |
中等症 | 55 | 15.84 | 79.51 |
重症 | 19 | 20.79 | 83.11 |
超重症 | - | - | - |
不明 | - | - | - |
患者数が最も多いのは中等症の患者さんですが、総数が令和2年度と同等であり令和元年度以前と比較すると減少しています。原因として新型コロナウイルス感染症に対する感染予防による影響で、呼吸器感染症が減少したものと考えられます。重症度が上がるにつれて平均年齢が高く、在院日数も長くなる傾向があります。
脳梗塞の患者数等
発症日から | 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
---|---|---|---|---|
3日以内 | 64 | 17.44 | 75.38 | 29.27 |
その他 | 18 | 15.56 | 81.22 | 9.76 |
当院の脳梗塞の患者さんの多くは発症3日目以内の急性期脳梗塞です。入院直後より内服・点滴による加療を行い、発症早期よりリハビリテーションも開始します。
当院では、脳卒中連携パスを使用し、後方病院との連携をとり、脳卒中診療を行っております。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K6121ィ | 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術 単純) | 109 | 6.21 | 11.56 | 8.26 | 71.43 | |
K6147 | 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) | 13 | 6.23 | 23.38 | 0.00 | 72.08 | |
K616-41 | 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) | 13 | 1.15 | 5.00 | 0.00 | 71.54 | |
K6112 | 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(四肢) | 10 | 5.10 | 20.30 | 0.00 | 75.10 | |
K635-3 | 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 | - | - | - | - | - |
内科(腎臓)では、透析に関わる手術に関して、泌尿器科と連携して手術を行う形となっています。症例数1位の内シャント造設術は、血液透析を行うために必要なシャントの造設を行っています。症例数2, 3位の経皮的シャント拡張術、血栓除去術、血管移植術、バイパス移植術については、透析継続が困難となる内シャント狭窄・閉塞に対する治療として行っています。症例数5位の連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術は、腹膜透析を行うために必要なカテーテルを腹腔内に留置しています。
症例数4位は化学療法のためのポート作成目的での入院となっています。内科(血液内科)では、化学療法を施行する患者さんのうち、血管確保が難しい患者さんに対しては、化学療法前にポート作成を行っております。
消化器内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K7211 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(直径2㎝未満) | 338 | 1.10 | 1.10 | 0.00 | 66.17 | |
K688 | 内視鏡的胆道ステント留置術 | 92 | 2.48 | 13.21 | 17.39 | 76.80 | |
K6871 | 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) | 74 | 1.84 | 6.58 | 9.46 | 74.89 | |
K6532 | 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜) | 50 | 1.90 | 8.34 | 0.00 | 73.36 | |
K6112 | 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(四肢) | 37 | 2.08 | 16.68 | 5.41 | 70.65 |
大腸ポリープや大腸腫瘍に対して行う内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術の症例数は令和2年度より大幅に増加しています。令和2年度はコロナ禍で受診控えの影響があったと思われ、その分令和3年度はリバウンドとして症例数が増加したと思われます。内視鏡的粘膜切除術目的の2泊3日入院が典型的です。
次いで胆道疾患や肝臓疾患に対して行われる内視鏡的胆道ステント留置術や総胆管結石に対する内視鏡治療である内視鏡的胆道結石除去術(乳頭切開術)があり、施行数はほぼ横ばいです。症状があり、急を要する病態であることもあり、コロナ禍の影響を受けにくく、増減しにくい手技と思われます。内視鏡的胆道ステント留置術は様々な病態で狭窄した胆道にチューブや金属のステントを留置し、胆汁の流れを良くする内視鏡治療です。また、内視鏡的乳頭切開術は総胆管結石症例に対する処置で、経乳頭的に結石を除去します。
早期胃癌に対する内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜下層)の対象は早期胃癌に限定されますが、術後入院日数も短く低侵襲的な治療と言えます。
抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植え込み型カテーテル設置は、様々な消化器癌患者で化学療法を行う目的で行う処置となります。進行癌患者さんは増加傾向にあると言えるでしょう。処置後に化学療法を行うため、副作用観察のため、入院期間は長めになる傾向です。
循環器内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K5493 | 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) | 81 | 2.02 | 4.15 | 2.47 | 72.01 | |
K5463 | 経皮的冠動脈形成術(その他) | 46 | 0.85 | 2.65 | 0.00 | 72.07 | |
K5972 | ペースメーカー移植術(経静脈電極) | 34 | 3.15 | 8.76 | 2.94 | 77.26 | |
K5492 | 冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) | 33 | 0.06 | 10.00 | 6.06 | 71.39 | |
K5491 | 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) | 24 | 0.04 | 13.17 | 8.33 | 69.54 |
循環器内科における手術は、安定狭心症に対する待機的な冠動脈ステント留置術が最も多く、次いで経皮的冠動脈形成術(DCB:薬剤溶出バルーンによるPOBA)となっています。緊急カテーテルが必要なACS(急性心筋梗塞、不安定狭心症)に対する冠動脈インターベーション(ステント留置術)は365日24時間対応可能で、年間60件ほど行っています。
外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K672-2 | 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 97 | 2.69 | 5.18 | 1.03 | 64.41 | |
K719-3 | 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 | 58 | 4.36 | 14.53 | 5.17 | 71.95 | |
K634 | 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) | 48 | 1.69 | 3.92 | 2.08 | 69.15 | |
K718-21 | 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) | 27 | 0.78 | 4.41 | 0.00 | 37.19 | |
K740-22 | 腹腔鏡下直腸切除・切断術(低位前方切除術) | 16 | 3.25 | 18.94 | 0.00 | 65.13 |
外科で最も手術症例が多いのは胆嚢結石症等に対する胆嚢摘出術です。
腹腔鏡を用いてできるだけ患者さんにやさしい手術を心がけています。
癌に対する手術で最も多いのは結腸癌に対する結腸切除術です。その多くを腹腔鏡下手術にて行っています。
鼠径ヘルニアに対しては、腹腔鏡下の手術を主体に行っています。
虫垂炎に対しては、症例によっては抗生剤にて治療を行った後に待機的に腹腔鏡下手術を行う症例が増加してきています。
整形外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K0461 | 骨折観血的手術(大腿) | 56 | 1.70 | 16.21 | 67.86 | 78.63 | |
K0821 | 人工関節置換術(膝) | 34 | 1.97 | 22.76 | 41.18 | 72.35 | |
K0462 | 骨折観血的手術(前腕) | 32 | 1.25 | 14.56 | 28.12 | 67.19 | |
K0483 | 骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕) | 23 | 0.48 | 2.70 | 0.00 | 59.09 | |
K0811 | 人工骨頭挿入術(股) | 19 | 2.95 | 19.58 | 73.68 | 85.79 |
当院整形外科では外傷を積極的に受け入れているため、骨折患者の手術が多いのが特徴です。特に高齢者の大腿骨近位部骨折が多くなっており、受傷早期に手術を行っています。また変形性膝関節症に対しては人工膝関節置換術を行っております。令和4年度からは医師が増員したため手術件数が増加傾向になっています。
脳神経外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K164-2 | 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 | 13 | 0.00 | 10.85 | 30.77 | 80.69 | |
K084 | 四肢切断術(足) | - | - | - | - | - | |
K252 | 角膜・強膜異物除去術 | - | - | - | - | - | |
K331 | 鼻腔粘膜焼灼術 | - | - | - | - | - |
脳神経外科では脳神経内科と協力して脳卒中診療を行っています。手術やカテーテル治療を要する場合は近隣の高次施設と連携をとって迅速に対応しています。最も入院数が多いのは比較的軽症で手術を要さない頭部外傷ですが、穿頭術やドレナージ等の局所麻酔で行える手術は施行しています。
呼吸器外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K4762 | 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) | 41 | 2.22 | 7.39 | 0.00 | 65.93 | |
K514-23 | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) | 27 | 3.89 | 12.07 | 0.00 | 68.56 | |
K4764 | 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴う)) | 12 | 1.75 | 9.33 | 0.00 | 55.50 | |
K5131 | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) | 10 | 7.20 | 6.00 | 10.00 | 46.40 | |
K514-21 | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) | - | - | - | - | - |
①K4762は、乳癌に対する乳房温存手術でセンチネルリンパ節転移なく、腋窩リンパ節郭清手術を行わなかった方です。
②K514-23は、原発性または転移性肺癌に対して、胸腔鏡下に標準手術である肺葉切除またはそれより多くの肺の根治的な切除を受けた方です。
③K4764は、乳房温存手術で、腋窩リンパ節郭清を行った患者さんです。センチネルリンパ節生検で腋窩リンパ節転移を認め、腋窩リンパ節郭清に移行した方もこちらに含まれます。
④K5131は、自然気胸または肺気腫などの続発性気胸で保存的治療で軽快しない方や再発を繰り返す方に、胸腔鏡下に肺嚢胞を切除する手術を行った方です。
⑤K514-21は、原発性または転移性肺癌に対して、肺機能を温存できる部分切除術を受ける方です。
産婦人科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K8882 | 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) | 62 | 1.11 | 4.97 | 0.00 | 45.82 | |
K877-2 | 腹腔鏡下膣式子宮全摘術 | 61 | 1.21 | 4.98 | 0.00 | 50.18 | |
K8981 | 帝王切開術(緊急帝王切開) | 52 | 1.58 | 7.87 | 3.85 | 31.31 | |
K861 | 子宮内膜掻爬術 | 42 | 0.05 | 0.33 | 0.00 | 49.93 | |
K867 | 子宮頸部(膣部)切除術 | 33 | 1.12 | 2.61 | 0.00 | 41.27 |
- 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)
腹腔鏡下付属器摘出術、卵巣腫瘍核出術は良性の卵巣腫瘍が手術の対象となります(悪性が疑われる場合は開腹術を選択します)。
若い女性で妊孕性を考え卵巣の一部を温存したい場合は核出術を選択し、そうでない場合は付属器摘出術を行います。
摘出臓器は基本的には臍部より摘出します。10㎝以上の大きい腫瘍でも内容を吸引することにより摘出が可能です。
妊娠中での手術は14週前後に手術を行い、16週以降になると視野が悪くなり、手術が困難になります。 - 腹腔鏡下腟式子宮全摘術
- 全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH:total laparoscopic hysterectomy,)
LAVHや腟式子宮全摘術など経腟的なアプローチが困難な症例に(未経産症例や既往帝切例など経腟分娩の既往がない症例、子宮内膜症などによる骨盤内癒着を疑わせる症例、子宮が大きくて小骨盤腔に入ってこない症例)適しています。
子宮の回収は経腟的ですが、大きくて経腟的に困難である場合は、電動モルセレーターやロトカットなどを使用し回収することもあります。
- 全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH:total laparoscopic hysterectomy,)
- 帝王切開術
帝王切開術にはあらかじめ日時を決めて行う予定帝王切開術と経腟分娩のトラブル(母児の状態が悪化した場合や、分娩の進行不良など経腟分娩が困難と判断)から行われる緊急帝王切開術があります。- 予定帝王切開術
前回帝王切開術の既往、子宮筋腫核出術などの既往、骨盤位など胎位・胎勢の異常、前置胎盤(異常出血があるときは緊急帝王切開術の場合もある)など - 緊急帝王切開術
常位胎盤早期剥離、胎児機能不全、重症妊娠高血圧症候群、臍帯下垂・脱出、遷延分娩・分娩停止など、腹壁切開は下腹部縦切開と恥骨上部数㎝を横切開する下腹部横切開法(Pfannestiel法など)があり、子宮筋層は原則として子宮下部横切開を行います。麻酔法は腰椎麻酔・硬膜外麻酔が主流ですが、常位胎盤早期剥離や臍帯脱出など緊急を要する場合は全身麻酔を行うこともあります。
- 予定帝王切開術
眼科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K2821ロ | 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) | 51 | 0.00 | 1.92 | 0.00 | 74.86 | |
K281 | 増殖性硝子体網膜症手術 | - | - | - | - | - | |
K279 | 硝子体切除術 | - | - | - | - | - | |
K2682 | 緑内障手術(流出路再建術) | - | - | - | - | - |
手術のメインは2泊3日で行っています。週2日午後のみの診察と手術を考えると、令和元年度より多いと考えます。
耳鼻咽喉科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K3772 | ①口蓋扁桃手術(摘出) | 19 | 1.11 | 7.63 | 0.00 | 24.95 | |
K340-5 | ②内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) | 13 | 1.69 | 5.62 | 0.00 | 65.46 | |
K309 | ③鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術 | 12 | 1.00 | 0.58 | 0.00 | 6.83 | |
K368 | ④扁桃周囲膿瘍切開術 | 10 | 0.00 | 7.10 | 0.00 | 65.10 | |
K6261 | ⑤リンパ節摘出術(直径3㎝未満) | - | - | - | - | - |
①口蓋扁桃摘出術
成人の慢性扁桃炎で急性炎症を繰り返す際、小児の扁桃肥大で夜間の呼吸困難(いびき・無呼吸)などを認める際には手術をお勧めしています。全身麻酔下の手術で術後出血予防のため術後1週間の入院安静を必要とします。
②内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型
慢性副鼻腔炎の保存加療にて治癒困難例に対し、入院の上で全身麻酔下に内視鏡下手術を行っています。症例の重症度に合わせて各手術形式の適応を判断しています。
③鼓膜チューブ挿入術
小児難治性の滲出性中耳炎に対して、全身麻酔下にて鼓膜チューブ留置を行います。チューブは平均して2年ほど留置して、その後抜去します。
④扁桃周囲膿瘍切開
扁桃炎が重症化すると周囲に膿瘍を形成します。保存的加療のみでは重症化する可能性が高く、切開排膿術を行い、抗生剤の点滴加療を1週間ほど行います。
⑤リンパ節摘出術
頸部リンパ節の腫脹の原因を調べるために、局所麻酔下にリンパ節を摘出する手術です。治療ではなく、検査のための手術です。術後1-2日入院にて経過を観察致します。
皮膚科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K0072 | 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) | 31 | 0.10 | 1.81 | 0.00 | 79.23 | |
K0051 | 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(直径2㎝未満) | 29 | 0.00 | 1.00 | 0.00 | 55.93 | |
K0061 | 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(直径3㎝未満) | 19 | 0.21 | 1.00 | 0.00 | 55.74 | |
K0062 | 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(直径3㎝以上6㎝未満) | - | - | - | - | - | |
K0052 | 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(直径2㎝以上4㎝未満) | - | - | - | - | - |
皮膚科では多くの皮膚腫瘍の手術を行っています。
1番多い皮膚・皮下腫瘍摘出術は粉瘤、母斑細胞母斑、脂漏性角化症などの皮膚の良性腫瘍の手術で、部位や大きさによってKコードが分かれています。次いで多いのは基底細胞癌、有棘細胞癌などの皮膚癌の手術です。
泌尿器科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K8036ィ | 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) | 103 | 2.16 | 7.66 | 1.94 | 77.48 | |
K768 | 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術 | 82 | 0.94 | 2.11 | 1.22 | 59.34 | |
K7811 | 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) | 81 | 3.91 | 5.12 | 1.23 | 65.72 | |
K783-2 | 経尿道的尿管ステント留置術 | 42 | 2.17 | 9.14 | 9.52 | 72.29 | |
K773-2 | 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 | 21 | 7.57 | 13.52 | 4.76 | 71.67 |
手術に関しては連年とほぼ同様の結果ですが、今回腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術が経尿道的前立腺手術に変わりランクインしております。膀胱癌に対する経尿道的手術が最多となっておりまが、当院の特徴として上部尿路結石(腎・尿管結石)に対する治療として体外衝撃波およびレーザーを用いた経尿道的手術のどちらも選択可能となっており、症例毎に適した治療をお勧めしています。尿路結石のカテゴリーではDPC対象病院での全国病院別治療実績・手術件数で100位以内に入っています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
---|---|---|---|---|
130100 | 播種性血管内凝固症候群 | 同一 | - | - |
異なる | - | - | ||
180010 | 敗血症 | 同一 | 23 | 0.29 |
異なる | 13 | 0.16 | ||
180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | - | - |
異なる | - | - | ||
180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | 21 | 0.26 |
異なる | - | - |
当院での全症例に対する敗血症は0.45%であり、令和2年度の0.68%と比べて減少し、厚生労働省による令和2年度の全国DPC対象病院データ集計結果とほぼ同率となったことから、当院では令和3年度、重症感染症の受け入れは全国平均と同等と考えられます。一方、手術・処置等の合併症発生率は0.30%で0.57%(全国)に比べてかなり少なく、DPC病名と入院契機病名が全て同一であり、入院中に生じたものも0.04%と少ないことから、術後合併症の多い患者さんは少ないことがわかります。
- 2022年9月28日
- 令和3年度 病院指標を掲載しました。
・卵巣腫瘍
一般に腫瘍が小さいときは無症状のことが多く、日常生活に支障はありません。
卵巣腫瘍の付け根がねじれること(卵巣腫瘍茎捻転)があり、激しい下腹痛が出現することがあります。
卵巣腫瘍の破裂も同様な症状を認めます。
また時に直径20㎝を超えるような巨大腫瘍になることがあり(間違って最近太ってきたと思われることもあるようです)、妊婦のようにお腹が前に突き出ることがあります。
腫瘍が大きくなると膀胱や直腸の圧迫による頻尿や便秘、リンパ管の圧迫による下肢浮腫などが起こります。
当科では主に腹腔鏡下手術により腫瘍を摘出しています。悪性が疑われるときは基本的には開腹術を行っています。
・子宮下垂・子宮脱
子宮が正常の位置より下降したものを子宮下垂といい、これがひどくなり外陰部より子宮の一部または全部が脱出するものを子宮脱といいます。
多くの場合子宮が下降するときは、腟・膀胱・直腸などの臓器を引き連れて下がります。
程度の軽いものは無症状で、婦人科健診などで指摘されて初めて気づきますが、症状が進むと丸くて硬いものが外陰部に触れるようになり、さらに進行すると排尿障害や排便障害の原因にもなります。
当科では腹部切開を伴わない腟式手術を行っており、術後は比較的早期に退院できます。また、卵巣腫瘍や子宮筋腫を合併している場合は腹腔鏡下手術を併用し、同時に治療することも可能です。