平成28年度 JCHO諫早総合病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 870 190 230 417 536 815 1700 1870 1543 311
当院は地域の急性期医療を担う役割を有している病院であり、昨年度DPC対象者は前年と変わらず、合計は8,482人でした。
グラフの通り、10歳未満の小児と60歳以降の年代に患者年齢層のピークがあり、2峰性となっています。
一番のピークは70代にあり、約22%ですが、それ以降の年代で合計3,724例(約44%)と当院でも、入院患者の多くは高齢者
であることが分かります。
各年代別で多い疾患を見ると、
10歳未満では気管支炎・気管支肺炎、小児喘息などの呼吸器系疾患が大部分であり、
10代では急性虫垂炎、
20代では扁桃炎や切迫早産、胃腸炎・腸炎が多く見られました。
30代では切迫早産、帝王切開に関連したものなど産婦人科系疾患と救急受診の多い尿管結石が多くなります。
40代では子宮筋腫、卵巣癌、子宮内膜増殖症など婦人科系疾患、大腸ポリープが多くなります。
50代になると末期腎不全、大腸ポリープ、尿路結石の他、肺癌が多くなります。
60代では大腸ポリープについで腎不全、狭心症が多く、前立腺癌、肺癌といった悪性腫瘍も多く見られます。
70代では肺癌が多く、次いで大腸ポリープ、前立腺癌、労作性狭心症となります。
80代以降では大腿骨骨折が圧倒的に多く、うっ血性心不全、肺炎が続きます。
年代別に多い疾患を知ることで、ご自分の健康管理の参考にしていただければと思います。
 
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
 
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 71 13.59 16.83 0 70.99  
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 61 16.56 12.84 4.92 66.31  
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 44 14.59 8.87 13.64 71.2  
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 1あり 43 36.53 37.06 4.65 69.42  
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 37 15.76 17.95 27.03 79.27  
内科(腎臓)では、血液透析と腹膜透析の導入の際、泌尿器科の先生と連携して手術を行って頂いています。症例数1位の内シャント設置術は、内シャント設置術のみ、内シャント設置術から透析導入まで、維持透析患者さんのシャントトラブルによる再内シャント設置術が含まれています。症例数2位の内視鏡的消化管止血術は、維持透析の合併症として消化管出血に対し、消化器内科の先生と連携して手術を行って頂いています。

呼吸器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 104 2.33 3.68 0 71.65  
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 71 17.39 12.35 0 66.82  
0400801499x001 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし A-DROP スコア1 38 13.29 13.60 5.26 82.74  
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2 なし 36 18.97 19.92 5.26 73.44  
040040xx9905xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 5あり 30 21.4 19.24 0 72.6  
呼吸器内科では肺の悪性腫瘍、主に肺がんの患者さんが多くなっており、症例数1,2,5位が肺がんに関するものです。症例数1位の肺の悪性腫瘍については主に気管支鏡検査目的の入院であるため、平均在院日数も短くなっています。症例数2位の肺の悪性腫瘍については主に化学療法など治療目的の入院であるため平均在院日数が長く、平均年齢がやや低い傾向にあります。症例数3位の75歳以上の市中肺炎は、高齢者では医療・介護関連肺炎が増加する傾向にあるため、平均年齢が80歳を超えており、在院日数が長期化する傾向があります。症例4位の間質性肺炎においては感染性の肺炎よりも治療期間が長くなるため在院日数も長くなっています。症例5位の肺癌(カルボプラチン/パクリタキセル)についてはパクリタキセルの投与を1,8,15日目と分割しているため化学療法あり全体と比較して平均在院日数が長くなっています。

循環器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 169 2.33 3.06 2.37 69.87  
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1,2あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 91 4.7 4.71 1.1 71.24  
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 81 15.07 17.95 17.28 83.2  
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1 なし、1,3あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 39 10.62 11.38 7.69 77.64  
050030xx97000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 その他の手術あり 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 32 13.41 13.02 3.12 70.75  
循環器内科の手術では、安定狭心症に対する待期的な冠動脈ステント留置術が最も多く、ACS(急性心筋梗塞、不安定狭心症)に対する緊急手術の倍近くとなっています。ペースメーカーは新規植え込みが交換の倍以上となっています。

リウマチ科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス
070560xx99x0xx 全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患 手術なし 手術・処置等2 なし 42 22.12 17.77 0 64.26  
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 11 15.18 17.95 18.18 80.55  
070470xx99x0xx 関節リウマチ 手術なし 手術・処置等2 なし 11 17.64 14.52 0 72.45  
070470xx99x2xx 関節リウマチ 手術なし 手術・処置等2 2あり 7 27.14 25.16 14.29 76.86  
070470xx99x4xx 関節リウマチ 手術なし 手術・処置等2 4あり 6 18.33 12.35 0 62.83  
リウマチ科で、一番多いのは全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎・多発性筋炎、強皮症、血管炎症候群などの全身性臓器障害を伴う膠原病疾患が最も多くなっています。重篤な合併症(感染症・DIC)の入院も多く、抗生剤投与以外にステロイドパルス、エンドキサンパルス、免疫グロブリン大量点滴療法などを必要に応じて行っています。
2番目に症例数が多いのは、平均80歳代の高齢者の心不全です。間質性肺炎や膠原病関連肺高血圧など合併症にともなうものもあり、長期加療が必要な為、転院する症例が多い傾向にあります。
3-5番目には、活動性が高く集学的な治療もしくは生物学的製剤の導入が必要な関節リウマチの入院が多くなっています。免疫抑制療法中には重症化する場合もあり入院加療とし、また理学療法を併用して早期退院を目指しています。

小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 定義副傷病 なし 202 5.85 6.02 0.5 1.42  
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 105 6.37 6.42 0 3.72  
0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 101 6.02 5.79 0 3.71  
150010xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2 なし 73 3.36 5.50 0 3.45  
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 43 7.49 6.18 13.95 0  
当院では、地域の小児科医師(かかりつけ医)と連携をとりながら診療を行っています。
当科で最も多い症例は肺炎、急性気管支炎、喘息などの呼吸器疾患、次に多いのがウィルス性腸炎などの消化器疾患など、感染症によるものが半数以上です。
そのほとんどがかかりつけ医からの紹介による緊急入院で、必要に応じて抗生剤点滴、酸素使用などによる入院治療を行っています。
退院後は、かかりつけ医への逆紹介のうえ、外来での経過観察をお願いしております。
その他、当院および地域の産婦人科医とも連携をとり、呼吸障害や感染症などで入院管理が必要な新生児の対応も行っています。

外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 51 7.51 6.82 1.96 63.78  
060035xx01000x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 39 21.33 15.92 5.13 72.67  
060335xx02000x 胆嚢水腫、胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 35 8.6 7.61 5.71 59.71  
060020xx02x0xx 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 33 20.33 17.65 6.06 66.73  
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 32 5.81 5.60 0 30.16  
外科で最も手術症例が多いのは胆嚢結石症等に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術です。
胆嚢結石に伴い胆嚢炎を起こされた患者さんは、まず抗生剤等にて内科的治療を行い、いったん退院いただき、その後手術を行う方針です。手術法も腹腔鏡を用いてできるだけ患者さんにやさしい手術を心がけています。
鼠径ヘルニアに対しては、鼠径部を切開して行う前方アプローチの手術にくわえ、腹腔鏡下の手術も増加しており、現在では腹腔鏡手術が主体となりつつあります。
虫垂炎に対しても腹腔鏡手術が主となっています。
癌に対する手術で最も多いのは結腸癌に対する結腸切除術です。手術症例数は年々増加傾向にあります。多くを腹腔鏡下手術にて行っています。

整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 160 16.84 27.63 82.5 83.75  
160690xx99xx0x 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 定義副傷病 なし 41 13.15 20.57 78.05 79.66  
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 定義副傷病 なし 36 7.5 5.49 16.67 56.67  
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 35 24.77 24.42 57.14 68.29  
160835xx01xx0x 下腿足関節周辺骨折 骨折経皮的鋼線刺入固定術 前腕、下腿等 定義副傷病 なし 31 16.58 23.54 51.61 49.23  
当院整形外科では、外傷を積極的に受け入れているため、骨折患者の手術が多いのが特徴です。その中でも、骨粗鬆症関連の大腿骨近位部骨折や橈骨遠位端骨折が多く、大腿骨転子部骨折では、ほとんどの患者が骨接合術の適応となるため、骨折観血的手術(大腿)が最も多くなっています。また大腿骨頚部骨折では多くが人工骨頭挿入術(股)になるのでこれも多くなってきています。次に多い外傷として足関節骨折・下腿骨骨折が挙げられ、荷重関節や荷重肢であることから、ほとんどが骨折観血的手術(下腿)の適応になっています。早期手術と強固な内固定により、早期の機能回復、社会復帰を目指しています。橈骨遠位端骨折の骨接合術後には、骨癒合完成後、骨内挿入物除去術後(前腕)を行う事が多く、これも多くなっています。また、下肢の関節外科(主に人工関節)を専門とする医師がおり、特に股関節の治療に精通しているため、近隣の病院からの紹介も増えてきており、人工関節置換術(股)が増加しているという傾向があります。

呼吸器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx03x0xx ①乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 手術・処置等2 なし 28 10.07 6.59 0 60.93  
090010xx01x0xx ②乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等2 なし 27 17 11.57 0 58.22  
040040xx97x0xx ③肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2 なし 22 20.18 12.73 0 68.64  
090010xx99x40x ④乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 15 8.4 4.64 0 59.2  
090010xx99x00x ⑤乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 11 10.82 9.39 9.09 63.64  
①の患者さんは、乳がんに対する手術として、乳房温存手術でセンチネルリンパ節生検の結果、腋窩リンパ節郭清を行わなかった方です。
②の患者さんは、乳がんに対する手術として、胸筋温存乳房切除または部分切除と腋窩リンパ節郭清を行なった方です。術後のドレナージが必要で、また乳房切除では創部の注意深いケアと肩関節の抗縮予防のためのリハ、郭清のためのリンパ浮腫予防の指導などを行なうため、入院がやや長くなっています。
③の患者さんは、原発性または転移性肺癌に対して、根治的な切除手術を行った方です。
④の患者さんは、乳がんの術前化学療法の初回で、副作用の管理と指導などのため、入院で治療しています。
⑤の患者さんは、乳がんの再発または化学療法後の発熱性好中球減少症の治療のために入院加療した患者さんです。

産婦人科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx02xxxx ①子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 75 8.08 6.29 0 44.6  
120070xx02xxxx ②卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 61 7.39 6.42 0 47.18  
120180xx01xxxx ③胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 43 10.91 9.88 2.33 34.09  
120230xx02xxxx ④子宮の非炎症性障害 子宮鏡下子宮中隔切除術、子宮内腔癒着切除術(癒着剥離術を含む。)等 33 1.36 2.50 0 49.91  
120100xx02xxxx ⑤子宮内膜症 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 30 8.17 6.87 0 39.8  
②卵巣腫瘍
一般に腫瘍が小さいときは無症状のことが多く、日常生活に支障はありません。
卵巣腫瘍の付け根がねじれること(卵巣腫瘍茎捻転)があり、激しい下腹痛が出現することがあります。
卵巣腫瘍の破裂も同様な症状を認めます。
また時に直径20㎝を超えるような巨大腫瘍になることがあり(間違って最近太ってきたと思われることもあるようです)、
妊婦のようにお腹が前に突き出ることがあります。
腫瘍が大きくなると膀胱や直腸の圧迫による頻尿や便秘、リンパ管の圧迫による下肢浮腫などが起こります。
当科では主に腹腔鏡下手術により腫瘍を摘出しています。悪性が疑われるときは基本的には開腹術を行っています。

 

⑤子宮内膜症
ホルモン依存性の疾患で、過去20~30年間に診断、治療を受ける率は増加しています。30歳前半の女性にピークがあり、その年代の150人に1人に相当し、軽症まの子宮内膜症まで含めると10人に1人に存在するという推論もあります。主な症状としては
・骨盤痛:①月経痛 ②性交痛 ③下腹部痛 ④腰痛
・月経異常:①過多月経 ②月経不順 ③不正性器出血
・不妊
・消化器症状:①腹痛排便痛 ②下血 ③便秘 ④下痢
・尿路症状:①頻尿 ②排尿痛 ③血尿
・呼吸器症状:①気胸 ②血痰 ③胸痛
治療法としては薬物療法と外科的治療があります。薬物療法としては①対症療法:鎮痛剤、漢方薬など②内分泌療法:低用量ピル、ジエノゲスト、ダナゾール療法、GnRHアゴニスト療法(リュープリンなど)等があります。外科的治療としては①保存手術:卵巣子宮内膜症性嚢胞の核出、病巣の切除・焼灼・蒸散など、癒着剥離、神経切断術(仙骨子宮靱帯切断術)など②根治術:子宮全摘術+両側卵巣摘除などがあります。

耳鼻咽喉科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス
030240xx99xxxx ①扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 50 5.2 5.50 0 40.84  
030230xxxxxxxx ②扁桃、アデノイドの慢性疾患 35 9.2 8.12 0 23.97  
030428xxxxxxxx ③突発性難聴 32 7.19 9.37 0 62.97  
030350xxxxxxxx ④慢性副鼻腔炎 26 6.42 7.47 0 59.04  
030440xx01xxxx ⑤慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 15 14.53 9.36 0 38.27  
① 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽喉頭炎
急性扁桃炎・扁桃周囲膿瘍はのどの痛み・飲み込みにくさ・呼吸困難などの原因となり、入院が必要になることも多いです。主に抗生物質の点滴を行いますが、重症例では切開排膿など外科的処置が必要になることもあります。
② 扁桃・アデノイドの慢性疾患
幼小児期の扁桃・アデノイド肥大は、いびき・呼吸困難の原因となり、また難治性の滲出性中耳炎の原因にもなり、手術適応になる場合があります。成人の慢性扁桃炎も感染を繰り返す場合には手術適応となります。
③ 突発性難聴
感音難聴の中でも、急性に発症する突発性難聴は治癒する可能性があります。重症例では、めまいを伴うこともあります。急性期に受診された症例(発症1ヵ月以内)には、入院の上でステロイドホルモンの点滴加療(約1週間)をお勧めしています。
④ 慢性副鼻腔炎
慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿)は鼻閉の主な原因の1つです。数ヶ月間内服治療を行っても改善がない場合は、手術の適応になります。高率に症状の改善が得られ、満足度が高い手術と言えます。ほとんどの場合、内視鏡で手術を行い、約1週間の入院が必要です。
⑤ 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫
慢性中耳炎は、鼓膜に穿孔(穴)がある状態です。手術で穿孔を閉鎖することによって聴力の改善が期待できる場合、手術の適応となります。中耳真珠腫は放置しておくと、難聴が進行し、顔面神経麻痺・めまいなどの重篤な合併症を起こすことがあります。多くの場合は手術の適応になります。

神経内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス
010155xxxxx00x 運動ニューロン疾患等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 19 8.79 14.14 10.53 69.37  
010160xx99x00x パーキンソン病 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 15 18.6 18.71 13.33 72.2  
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 7 5.57 7.12 0 48.43  
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 7 13.43 21.25 42.86 76  
010060x2990201 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 6 13.33 16.73 0 67.5  
当科の入院患者の特徴として運動ニューロン疾患やパーキンソン病等、変性疾患の多いことがあげられます。ただし、運動ニューロン疾患の場合は診断目的で入院されることが多く、診断後は速やかに外来での加療へ移行するのに対し、パーキンソン病はすでに外来で診断がなされ、入院は主に抗パーキンソン病薬の調節やリハビリテーション目的となります。そのため、運動ニューロン疾患の平均在院日数は8.79日と短くなっています。
誤嚥性肺炎は、上記変性疾患による嚥下機能の低下を契機に発症している場合が多く、また、脳梗塞はほとんどが急性期ですが、JCS10未満の軽症例が多いようです。

消化器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 101 11.05 11.06 7.92 76.83  
060020xx04x0xx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 手術・処置等2 なし 55 11.69 9.02 5.45 75.87  
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 36 8.97 9.08 5.56 66.69  
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2 なし 31 12.42 11.74 6.45 74.19  
06007xxx97x00x 膵臓、脾臓の腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 27 10.15 14.75 14.81 76.15  
消化器内科の最も多い症例は、胆管結石や胆管炎といった胆道疾患があげられます。
胆石で胆管が詰まって炎症が生じた場合は、チューブで胆汁の流出路を確保する(ステント留置)、胆石を除去する(乳頭切開術)などの内視鏡治療を行います。
次いで消化管の内視鏡治療として、胃がんに対する治療があります。
早期胃がんに対して上部消化管内視鏡を用いて治療を行います。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が主な治療法となっています。
癒着性腸閉塞に対するイレウス管挿入による保存的治療や、肝胆膵腫瘍に対する診断・治療も多く診療しています。

皮膚科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 30 7.6 8.96 0 67.9  
080011xx99xxxx 急性膿皮症 手術なし 24 6.71 11.97 0 59.33  
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1 なし 21 2.52 4.28 0 65.95  
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし 19 3.84 6.78 0 77.42  
080110xxxxx0xx 水疱症 手術・処置等2 なし 9 18.33 30.11 0 75.78  
帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウィルスの再活性化で体の片側に痛みを伴う水泡が出る疾患で、外来治療も行いますが、痛みなどがひどい場合や免疫の低下した患者さんなどでは入院加療を行っています。
急性膿皮症の多くはブドウ球菌や溶連菌による丹毒、蜂窩織炎という皮膚の感染症で、高熱が出たり腫脹や痛みが強い場合に入院して抗生剤の点滴治療を行っています。
粉瘤や母斑細胞母斑(ほくろ)を中心とした皮膚の良性腫瘍、また基底細胞癌、有棘細胞癌などの皮膚の悪性腫瘍に対する手術を入院で行っています。
皮膚に水疱ができる天疱瘡、類天疱瘡などの自己免疫性水疱症が重症の場合、びらんや潰瘍を生じ水分や蛋白などが喪失します。入院して皮膚に対する処置やステロイドを中心とした薬物治療を行います。

泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 70 13.17 7.44 1.43 73.19  
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術等 手術・処置等1 なし 定義副傷病 なし 63 9.43 5.83 3.17 60.57  
11012xxx040x0x 上部尿路疾患 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(一連につき) 手術・処置等1 なし 定義副傷病 なし 26 3.27 2.82 0 59.5  
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 手術なし 定義副傷病 なし 26 10 12.43 3.85 69.19  
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術 23 17.65 9.98 13.04 74.65  
膀胱腫瘍、上部尿路疾患(尿路結石など)の患者数は県内で上位にはいる数です。当科では在院日数が全国平均より長めですが、これは患者さんがご高齢の方が多いこと、また、島原半島などの遠隔地より来られており、退院後、外来通院がやや困難である事が原因です。膀胱腫瘍、上部尿路結石の治療ともに内視鏡手術が主ですが、浸潤性膀胱腫瘍の場合は、腹腔鏡手術や放射線、抗がん剤治療、尿路結石は場所、大きさにより体外衝撃波治療を行います。

 

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
  初発 再発 病期分類基準(※) 版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 76 13 14 45 - 25 1 7
大腸癌 38 32 39 27 - 58 1 6,7
乳癌 43 31 15 - - 24 1 7
肺癌 38 24 40 115 - 42 1 7
肝癌 - - - - - 28 1 7

※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約

胃癌の内視鏡診断レベルは年々向上しており、外科的切除ではなく内視鏡的切除の対象となる小さな早期胃癌が増加して来ています。しかし、一方で診断時すでに遠隔転移を来たした進行胃癌患者さんが依然多いのも特徴です。
大腸癌は増加を続けていますが、早期癌から進行癌まで満遍なく多い傾向があり、当院でも外科での手術治療が
中心的役割を果たしています。たとえ肝転移を来たしていても外科的に切除されることも少なくありません。
肺癌は、外科的切除を受けられる患者さんもそれなりに多いものの、最初からあるいは再発後に化学療法や放射線
治療を受けられる方も非常に多いようです。
乳癌の初回治療の多くは外科で手術を受けられていますが、術後にあるいは再発後もホルモン療法や化学療法を外来で続ける患者さんが非常に多いようです。
肝癌は癌の進行度だけでなく患者さんの肝臓の障害度(痛み具合)に応じて治療法が選択されて行きます。
 
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
  患者数 平均在院日数 平均年齢
軽症 34 11.74 58.76
中等症 109 14.34 81.28
重症 18 21.28 84.11
超重症 12 20.5 80.33
不明 - - -
患者数が最も多いのは中等症の患者さんです。
成人市中肺炎は重症度が上がるほど高齢である傾向が認められ、かつ在院日数も長くなる傾向があります。
また、前医(ご紹介いただいた医院や病院)での治療が奏功しなかったなどの理由で軽症や中等症と判定されても入院加療となることがあり、そのため重症や超重症と比べて軽症や中等症が多い理由の一つとなっています。
 
脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード
ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 3日以内 - - - -
その他 - - - -
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 3日以内 - - - -
その他 - - - -
I63$ 脳梗塞 3日以内 29 18.48 75.69 27.03
その他 - - - -
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内 - - - -
その他 - - - -
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内 - - - -
その他 - - - -
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> 3日以内 - - - -
その他 - - - -
I679 脳血管疾患,詳細不明 3日以内 - - - -
その他 - - - -
当院の脳梗塞の患者さんの多くは発症3日以内の急性期脳梗塞です。
入院直後より内服・点滴による加療を行い、発症早期よりリハビリテーションも開始します。
平均在院日数は約18日、後方支援病院への転院率は約27%で、前年度に比較し平均在院日数は短縮し、後方支援病転院への転院率も減少しています。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード

 

内科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K610-3 内シャント設置術 107 7.24 17.25 9.35 70.24  
K654 内視鏡的消化管止血術 13 5.54 19.46 23.08 79.15  
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) - - - - -  
K2762 網膜光凝固術(その他特殊) - - - - -  
K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 - - - - -  
内科(腎臓)では、血液透析と腹膜透析の導入の際、泌尿器科の先生と連携して手術を行って頂いています。症例数1位の内シャント設置術は、内シャント設置術のみ、内シャント設置術から透析導入まで、維持透析患者さんのシャントトラブルによる再内シャント設置術が含まれています。症例数2位の内視鏡的消化管止血術は、維持透析の合併症として消化管出血に対し、消化器内科の先生と連携して手術を行って頂いています。

消化器内科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 279 1.15 1.11 0.36 67.7  
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 71 3.85 7.55 9.86 75.87  
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 71 1.63 11.25 21.13 76.85  
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 56 2.07 8.59 5.36 75.39  
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) 36 1.25 1.33 0 64.81  
大腸ポリープや大腸腫瘍に対して行う内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術の症例数が多くなっています。ポリペクトミー目的の2泊3日入院が典型的な症例です。次いで総胆管結石に対する内視鏡治療である内視鏡的胆道結石除去術(乳頭切開術)があり、経乳頭的に結石を除去します。
胆道疾患や肝臓疾患に対して行われる内視鏡的胆道ステント留置術は様々な病態で狭窄した胆道にチューブや金属のステントを留置し、胆汁の流れを良くする手術です。この手術は、癌による閉塞性黄疸に対して化学療法前に減黄目的で行われたり、胆石症に対する内視鏡的胆道結石除去術(乳頭切開術)などの他の手術の前段階として行われることも多く、術後日数が長くなる傾向があります。
早期胃癌に対する内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層)の対象は早期胃癌に限定されますが症例が増加傾向にあり、術後日数も短く低侵襲的な治療と言えます。

循環器内科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 82 0.83 3.73 3.66 71.15  
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 26 2.92 8.08 11.54 76.12  
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) 21 0 13.48 9.52 69.71  
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) 20 0 9.9 0 71.9  
K597-2 ペースメーカー交換術 11 1.18 6.18 0 83.73  
循環器内科の手術では、安定狭心症に対する待期的な冠動脈ステント留置術が最も多く、ACS(急性心筋梗塞、不安定狭心症)に対する緊急手術の倍近くとなっています。ペースメーカーは新規植え込みが交換の倍以上となっています。

外科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 87 1.77 5.34 3.45 61.86  
K6335 ヘルニア手術5.鼠径ヘルニア 57 1.16 3.88 0 67.89  
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 32 4.97 14.78 3.12 69.22  
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 31 0.77 3.97 0 29.58  
K6552 胃切除術 2.悪性 24 3.54 18.58 8.33 68.25  
外科で最も手術症例が多いのは胆嚢結石症等に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術です。
胆嚢結石に伴い胆嚢炎を起こされた患者さんは、まず抗生剤等にて内科的治療を行い、いったん退院いただき、その後手術を行う方針です。手術法も腹腔鏡を用いてできるだけ患者さんにやさしい手術を心がけています。
鼠径ヘルニアに対しては、鼠径部を切開して行う前方アプローチの手術にくわえ、腹腔鏡下の手術も増加しており、現在では腹腔鏡手術が主体となりつつあります。
虫垂炎に対しても腹腔鏡手術が主となっています。
癌に対する手術で最も多いのは結腸癌に対する結腸切除術です。手術症例数は年々増加傾向にあります。多くを腹腔鏡下手術にて行っています。

整形外科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 113 1.37 13.89 76.99 77.21  
K0462 骨折観血的手術(下腿) 88 1.53 11.11 39.77 60.86  
K0811 人工骨頭挿入術(股) 65 1.82 13.82 84.62 85.08  
K0821 人工関節置換術(股) 64 2.28 22.45 46.88 71  
K0483 骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕) 35 0.11 2.66 0 52.51  
当院整形外科では、外傷を積極的に受け入れているため、骨折患者の手術が多いのが特徴です。その中でも、骨粗鬆症関連の大腿骨近位部骨折や橈骨遠位端骨折が多く、大腿骨転子部骨折では、ほとんどの患者が骨接合術の適応となるため、骨折観血的手術(大腿)が最も多くなっています。また大腿骨頚部骨折では多くが人工骨頭挿入術(股)になるのでこれも多くなってきています。次に多い外傷として足関節骨折・下腿骨骨折が挙げられ、荷重関節や荷重肢であることから、ほとんどが骨折観血的手術(下腿)の適応になっています。早期手術と強固な内固定により、早期の機能回復、社会復帰を目指しています。橈骨遠位端骨折の骨接合術後には、骨癒合完成後、骨内挿入物除去術後(前腕)を行う事が多く、これも多くなっています。また、下肢の関節外科(主に人工関節)を専門とする医師がおり、特に股関節の治療に精通しているため、近隣の病院からの紹介も増えてきており、人工関節置換術(股)が増加しているという傾向があります。

呼吸器外科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 28 1.82 7.25 0 60.93  
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない)切除を併施しない 14 2.71 16.07 0 60.07  
K4764 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴う)) 13 3 10 0 56.23  
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 11 4.09 17.64 0 69.45  
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) - - - - -  
K4762の患者さんは、乳房温存手術でセンチネルリンパ節生検の結果、腋窩リンパ節郭清手術を行わなかった方です。K4765の患者さんは、胸筋温存乳房切除でセンチネルリンパ節生検の結果、腋窩リンパ節郭清手術を行わなかった方です。K4764の患者さんは、乳房部分切除と腋窩リンパ節郭清を行なった患者さんです。
K514-23の患者さんは、原発性または転移性肺癌に対して、胸腔鏡下に標準手術である肺葉切除またはそれより多くの肺の根治的な切除を受ける方です。
K514-21の患者さんは、原発性または転移性肺癌に対して、肺機能を温存できる部分切除術を受ける方です。

産婦人科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 ①子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 97 1.71 6.09 1.03 48.18  
K861 ②子宮内膜掻爬術 57 0.42 0.3 0 50.26  
K877-2 ③腹腔鏡下腟式子宮全摘術 57 1.61 5.19 0 47.49  
K8982 ④帝王切開術(選択帝王切開) 52 5.62 7.6 1.92 33.85  
K8981 ⑤帝王切開術(緊急帝王切開) 34 6.94 7.65 5.88 32.18  
①子宮附属器腫瘍摘出術(両側) (腹腔鏡手術とは)
腹腔鏡下付属器摘出術、卵巣腫瘍核出術良性の卵巣腫瘍が手術の対象となります(悪性が疑われる場合は開腹術を選択します)。
若い女性で妊孕性を考え卵巣の一部を温存したい場合は核出術を選択し、そうでない場合は付属器摘出術を行います。
摘出臓器は基本的には臍部より摘出します。10㎝以上の大きい腫瘍でも内容を吸引することにより摘出が可能です。
妊娠中での手術は14週前後に手術を行い、16週以降になると視野が悪くなり、手術が困難になります。

 

③腹腔鏡下腟式子宮全摘術
・腹腔鏡補助下腟式子宮全摘術(LAVH:laparoscopically assisted vaginal hysterectomy)
子宮の良性疾患(子宮筋腫、子宮腺筋症など)を対象とし、
1.経腟分娩の既往があるものを原則とします
2.子宮の大きさは小児頭大以下(推定800g以下)とします
3.開腹術の既往があっても手術可能であるが、ダグラス窩の強度の癒着が予想あるいは確認された症例は除外します
4.巨大広靭帯内・頸部筋腫は除外します

・全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH:total laparoscopic hysterectomy,)
1.LAVHや腟式子宮全摘術など経腟的なアプローチが困難な症例に
(未経産症例や既往帝切例など経腟分娩の既往がない症例、子宮内膜症などによる骨盤内癒着を疑わせる症例、
子宮が大きくて小骨盤腔に入ってこない症例)適しています。
子宮の回収は経腟的ですが、大きくて経腟的に困難である場合は、電動モルセレーターやロトカットなどを使用し回収することもあります。

④⑤帝王切開術
帝王切開術にはあらかじめ日時を決めて行う予定帝王切開術と経腟分娩のトラブル(母児の状態が悪化した場合や、分娩の進行不良など経腟分娩が困難と判断)から行われる緊急帝王切開術があります。
・予定帝王切開術
前回帝王切開術の既往、子宮筋腫核出術などの既往、骨盤位など胎位・胎勢の異常、前置胎盤(異常出血があるときは緊急帝王切開術の場合もある)など
・緊急帝王切開術
常位胎盤早期剥離、胎児機能不全、重症妊娠高血圧症候群、臍帯下垂・脱出、遷延分娩・分娩停止など、腹壁切開は下腹部縦切開と恥骨上部数㎝を横切開する下腹部横切開法(Pfannestiel法など)があり、子宮筋層は原則として子宮下部横切開を行います。麻酔法は腰椎麻酔・硬膜外麻酔が主流ですが、常位胎盤早期剥離や臍帯脱出など緊急を要する場合は全身麻酔を行うこともあります。

眼科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) 124 0.02 2.04 0 75.89  
K224 翼状片手術(弁の移植を要する) - - - - -  
K2171 眼瞼内反症手術(縫合法) - - - - -  
K2193 眼瞼下垂症手術(その他) - - - - -  
K225-2 結膜腫瘍摘出術 - - - - -  
眼科で最も多い手術は、白内障に対する水晶体再建術です。現在のところは日帰り手術は行っておりませんが、入院加療が適している基礎疾患のある方、ご高齢の方を中心に開業医の先生方からご紹介いただき、2泊3日の入院加療を行っています。前年度と変化ありません。

耳鼻咽喉科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
3772 ①口蓋扁桃手術(摘出) 36 1.33 7.06 0 23.44  
K340-4 ②内視鏡下鼻・副鼻腔手術2型(副鼻腔単洞手術) 18 1.67 3.72 0 63.89  
K319 ③鼓室形成手術 14 2.07 11.57 0 40.21  
K6261 ④リンパ節摘出術1.長径3cm未満 11 0.36 2.36 0 64.55  
K340-5 ⑤内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) - - - - -  
① 口蓋扁桃摘出術
成人の慢性扁桃炎で年に数回急性炎症を繰り返す際、小児の扁桃肥大で夜間の呼吸困難(いびき・無呼吸)などを認める際には手術をお勧めしています。全身麻酔下の手術で術後出血予防のため術後1週間の入院安静を必要とします。
② 内視鏡下鼻・副鼻腔手術 2型
慢性副鼻腔炎の保存加療にて治癒困難例に対し、入院の上で全身麻酔下に内視鏡下手術を行っています.症例の重症度に合わせて各手術形式の適応を判断しています。入院期間は通常5-6日となっています。
③ 鼓室形成術
真珠腫性中耳炎、慢性中耳炎、癒着性中耳炎などに対し入院の上で、全麻下に手術を行っています。各症例の重症度に合わせて鼓室形成術の手術形式の適応を判断しています。入院期間は1~2週間程度となっています。
④ リンパ節摘出術
頸部リンパ節の腫れの原因を調べるために、局所麻酔下にリンパ節を1つ摘出する手術です。治療ではなく、検査のための手術です。
⑤ 内視鏡下鼻・副鼻腔手術 3型
基本的に ②と同じです。②より治療する範囲が広くなります。

皮膚科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 16 0.06 2.31 0 80.19  
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)1. 長径2cm未満 11 0 1.45 0 53.45  
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)2. 長径2cm以上4cm未満 - - - - -  
K0061 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部外)1.長径3cm未満 - - - - -  
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部外)2.長径3cm以上6cm未満 - - - - -  
皮膚科では多くの皮膚腫瘍の手術を行っています。
1番目に多いのは基底細胞癌、有棘細胞癌などの皮膚癌の手術です。
2番目と3番目に多い皮膚・皮下腫瘍摘出術は粉瘤や母斑細胞母斑(ほくろ)などの皮膚の良性腫瘍の手術で、部位や大きさによってKコードが分かれています。

泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢 患者用パス
K768 体外衝撃波腎尿管結石破砕術(一連につき) 82 1.5 2.33 2.44 61.1  
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 70 3.41 5.9 1.43 61.26  
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 66 4.58 8.89 3.03 73.44  
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 45 1.04 10.87 28.89 71.18  
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 29 4.31 13.07 0 68.93  
泌尿器科で最も多い手術は、腎・尿管結石に対し、体外衝撃波を用い、結石を破砕し、排石を促す手術です。
2番目に多い手術は、腎・尿管結石に対し、細い内視鏡を腎・尿管に挿入し、レーザーで結石を確実に破砕する手術です。
3番目に多い手術は、内視鏡を用い、膀胱癌を高周波の電気メスを用い切除する手術です。

 

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 22 0.26
異なる 27 0.32
180010 敗血症 同一 65 0.77
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 71 0.84
異なる - -
当院での全症例に対する播種性血管内凝固症候群の発生率は0.58%、敗血症は0.88%であり、平成27年度と比べて増加傾向にあり、厚生労働省による平成27年度の全国DPC対象病院データ集計の0.17%、0.58%に比べても多いことから、当院ではより重症を受け入れている可能性があります。
手術・処置等の合併症は0.86%ですが、ほとんどがDPC病名と入院契機病名が同一であり、入院中に生じたものではなく、合併症を主として入院されているということです。
疾患の内訳では透析シャント閉塞や術後瘢痕狭窄・術後出血が多く見られます。

更新履歴
2017/9/29
新規作成