令和4年度 JCHO諫早総合病院 病院指標

病院指標について

厚生労働省において検討された全国統一様式による病院指標について、本院のデータを以下のとおり公開いたします。
本指標は、令和4年度中の退院患者についての統計であり、一般病棟に1回以上入院した患者を対象にDPC調査データ(様式1、様式4、Dファイル)を基に集計しております。
患者数が10未満の数値の場合は、­(ハイフン)を掲載しています。

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

年齢階級別退院患者数

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年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 506 170 208 328 523 752 1465 2219 1541 397

当院は地域の急性期医療を担う役割を有している病院ですが、新型コロナウイルス感染症流行による一般病床削減の影響を受け、回復傾向にはあるものの、令和4年度DPC対象者は8,109人でした。特に小児患者の激減が影響して、患者年齢層のピークは令和2年、3年度と同様、70歳代をピークとする高齢者集団の入院増加となっています。小児もいくらか増えていますが、コロナ禍以前の状態には戻っていません。60代以降の年代で合計5,622例(69%)と入院患者の高齢化が目立ちます。各年代別で多い疾患を見ると、
10歳未満では令和3年度同様小児喘息に続いてRSウイルス細気管支炎が多くなっています。
10代では当院に「手の外科」専門医が着任したこともあり、橈骨遠位端骨折が1位、環指基節骨折が2位となり、急性虫垂炎は3位となっています。
20代ではCOVID-19が最多。急性虫垂炎およびそれに伴う腹膜炎、慢性扁桃炎が多く見られました。
30代ではCOVID-19と既往帝王切開後妊娠が同数で1位、3位が子宮頚部異形成となっています。
40代では子宮筋腫、大腸ポリープの他、肺腺癌、尿路結石などが多くなっています。
50代では大腸ポリープ、末期腎不全、尿管結石症、卵巣癌、狭心症などが多く見られました。
60代では大腸ポリープが最多で、前立腺癌、末期腎不全、肺癌(扁平上皮癌と腺癌を合わせると最多)が多く見られました。
70代では大腸ポリープが126例と最多で、次いで肺腺癌、前立腺癌、狭心症、末期腎不全となっています。
80代以降では慢性うっ血性心不全が最多で、次いで末期腎不全、大腸ポリープ、前立腺癌、COVID-19が主要な疾患です。
年代別に多い疾患を知ることで、ご自分の健康管理の参考にしていただければと思います。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全(シャント造設術等) 88 10.10 7.59 6.82 70.88
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全(手術・処置なし) 71 11.07 11.77 8.45 57.21
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(インスリン製剤(注射薬)) 45 11.20 14.28 0.00 65.44
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全(人工腎臓その他の場合) 38 14.71 13.82 2.63 69.29
110280xx991xxx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全(経皮的腎生検法) 38 6.71 6.45 0.00 52.03

【腎臓内科】
症例数1位は、血液透析導入目的で内シャント造設術、維持透析患者のシャントトラブルによる再内シャント設置術が含まれています。症例数2、4位は、腎炎やネフローゼ症候群に対する治療や慢性腎不全の合併症管理、内シャント設置術をすでに行っている方の透析導入、維持透析症例の合併症の入院が含まれています。症例数5位は、慢性腎炎症候群に対する病理診断のための腎生検入院です。腎臓内科では、慢性腎炎症候群の診断、加療、慢性腎不全の内シャント設置術や透析導入、維持透析の合併症の入院が多くなっています。

【糖尿病・内分泌内科】

症例数3位は、2型糖尿病患者さんの血糖管理および糖尿病教育目的での入院となっています。糖尿病・内分泌内科では、2型糖尿病とともに1型糖尿病患者さんの入院治療も行っています。

呼吸器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx99200x 肺の悪性腫瘍(経皮的肺生検等) 83 2.31 3.05 0.00 72.54
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 50 23.52 18.57 6.00 70.44
040040xx99041x 肺の悪性腫瘍(化学療法あり・定義副傷病あり) 34 15.88 14.42 0.00 67.18
040040xx9905xx 肺の悪性腫瘍(手術なし・化学療法あり) 28 19.29 18.98 0.00 68.18
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍(手術・処置なし) 27 16.19 13.49 22.22 77.22

呼吸器内科では肺の悪性腫瘍、主に肺癌の患者さんが多くなっており、症例数1、3、4、5位が肺癌に関するものです。症例数1位の肺の悪性腫瘍については、気管支鏡検査目的の入院であるため平均在院日数が短くなっています。症例数2位の間質性肺炎はステロイド導入など入院での治療期間がやや長くなるため、在院日数がやや長期化する傾向があります。症例数3、4位の肺の悪性腫瘍については化学療法など治療目的の入院であるため、平均在院日数がやや長めで平均年齢は約68歳となっています。症例数5位の肺癌は癌の進行によるADL低下および緩和医療の患者さんが中心で、平均年齢も高く、緩和医療継続目的などで転院率が高くなっています。

消化器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術等) 387 3.17 2.64 0.00 67.38
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 127 11.22 8.94 7.09 76.44
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍(内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術) 60 11.40 7.76 0.00 74.07
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞  34 8.56 9.00 5.88 69.35
060035xx04xxxx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍(早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術) 33 9.70 6.59 3.03 71.61

消化器内科の最も多い症例は、大腸ポリープや大腸腫瘍に対する内視鏡切除であり、短期的・低侵襲的に加療を実施します。次いで胆管結石や胆管炎といった胆道疾患があげられます。胆石で胆管が詰まって炎症が生じた場合は、チューブで胆汁の流出路を確保する(ステント留置)、胆石を除去する(乳頭切開術)などの内視鏡治療を行います。消化管の内視鏡治療として、胃がんに対する治療があります。早期胃がんに対して上部消化管内視鏡を用いて治療を行います。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が主な治療法となっています。早期の大腸がんに対しても同様に適応症例に対して内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行しています。腸閉塞は腹部手術歴のある方、S状結腸軸捻転症は高齢者に多く、いったん内科治療を行い軽快しても、再発を繰り返すことがあります。短期間に再発を繰り返したり、内科的治療で軽快しない場合には、外科にて手術治療を行います。

循環器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患(心臓カテーテル検査等) 142 2.43 3.04 4.23 69.04
050130xx9900x0 心不全(手術・処置なし) 102 15.41 17.54 7.84 84.59
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患(経皮的冠動脈ステント留置術等) 91 4.70 4.26 1.10 70.42
050210xx97000x 徐脈性不整脈(手術あり) 64 10.77 9.89 3.12 81.98
050030xx97000x 急性心筋梗塞、再発性心筋梗塞(経皮的冠動脈ステント留置術等) 49 13.69 11.59 0.00 70.82

循環器内科の診断群分類の上位は、虚血性心疾患に対する検査・治療(PCI:経皮的冠動脈インターベンション)、心不全の検査・治療、徐脈性不整脈に対するペースメーカー移植術が占めています。

リウマチ科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 23 21.87 14.67 13.04 65.57
070470xx99x3xx 関節リウマチ(手術なし・処置あり) - - 14.14 - -
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 - - 13.61 - -
070470xx99x0xx 関節リウマチ - - 15.73 - -
070510xx99xxxx 痛風、関節の障害(その他) - - 12.37 - -

令和4年度のリウマチ科は、重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患の患者数が例年より減少しました。全身性自己免疫疾患の内訳は、血管炎症候群(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、巨細胞性動脈炎)の入院が最多で、全身性強皮症、全身性エリテマトーデスの入院が続いていました。これは、その他のリウマチ性疾患(関節リウマチ、脊椎関節炎、リウマチ性多発筋痛症など)の治療の場は入院から外来に移行していること、薬物療法の発展に伴いリウマチ性疾患の再燃の入院が少なくなっていることが影響していると思われます。一方で、高齢化のためADL(基本的日常生活動作)低下や合併症のため入院が必要は患者さんは増えていると考えられます。リウマチ性疾患の患者様が適切な治療を受けられるように、引き続きスタッフ一丸となって頑張っていきたいと思います。

小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症 98 5.68 5.89 0.00 0.93
040100xxxxx00x 喘息 84 7.14 6.05 0.00 2.26
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 25 3.68 5.70 0.00 3.32
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上)  18 7.50 6.13 0.00 0.00
180030xxxxxx0x その他の感染症(真菌を除く。) 18 5.22 9.48 5.56 2.28

当院は諫早市、雲仙市を中心に地域の開業医の先生から紹介された(原則)全ての小児患者を受け入れています。主な疾患は急性気管支炎、肺炎、喘息などの下気道感染症です。軽症~中等症であればCOVID-19も入院診療を行っています。新生児治療室では在胎35週以上の早期産児、低出生体重児の治療を行います。
集中治療を必要とする重症患者は長崎大学病院や長崎医療センターと連携して、時期を逸しないよう速やかに転院搬送を行うよう心がけています。

外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上)(手術あり) 77 5.92 4.59 0.00 69.53
060335xx02000x 胆嚢炎等(腹腔鏡下胆嚢摘出術等) 60 7.13 6.93 0.00 64.62
060150xx03xxxx 虫垂炎(腹腔鏡下虫垂切除術) 45 7.62 5.32 0.00 32.93
060035xx010x0x 結腸の悪性腫瘍(腹腔鏡下悪性腫瘍手術等) 40 18.93 15.40 5.00 73.73
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(腹腔鏡下胆嚢摘出術) 28 7.50 6.07 0.00 57.21

鼠径ヘルニアに対しては、腹腔鏡下の手術を主体に行っています。
癌に対する手術で最も多いのは結腸癌に対する結腸切除術です。その多くを腹腔鏡下手術にて行っています。
胆嚢結石症等に対してもそのほとんどを腹腔鏡を用いて施行しております。
虫垂炎に対しては、症例によっては抗生剤にて治療を行った後に待機的に腹腔鏡下手術を行う症例もあります。
総じて、腹腔鏡を用いた手術を中心に行い、できるだけ患者さんにやさしい手術を心がけています。

整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折(手術あり) 142 19.80 26.42 73.94 84.09
160760xx97xx0x 前腕の骨折(手術あり) 98 5.66 4.86 8.16 52.56
160610xx97xxxx 四肢筋腱損傷(手術あり) 54 10.07 9.03 14.81 53.31
160780xx97xx0x 手関節周辺の骨折・脱臼(手術あり) 39 3.10 4.10 5.13 33.00
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷 35 14.91 20.09 74.29 77.60

当院整形外科では、高齢化に伴う骨粗鬆症関連の大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折(前腕骨折)、胸・腰椎圧迫骨折による入院患者が多くなっていました。令和4年度は手外科専門医師が入職したことによって、三角線維軟骨複合体縫合術、前腕骨折骨接合術、手指骨折接合術の手術が増加しています。

呼吸器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x ①肺の悪性腫瘍(肺切除術) 42 15.38 10.06 0.00 70.45
090010xx02xxxx ②乳房の悪性腫瘍(腋窩部郭清を伴わない手術) 30 10.03 5.67 0.00 58.27
090010xx010xxx ③乳房の悪性腫瘍(腋窩部郭清を伴う手術等) 20 14.35 9.99 0.00 59.90
090010xx99x40x ④乳房の悪性腫瘍(化学療法) 20 7.80 3.66 0.00 55.35
040200xx01x00x ⑤気胸(胸腔鏡下肺切除術) 13 15.46 9.68 0.00 42.85

①は、原発性または転移性肺癌に対して、根治的な肺葉切除術を行った方です。
②は、乳がんに対する手術として、乳房温存手術または胸筋温存乳房切除術とセンチネルリンパ節生検を施行し、リンパ節に転移なく、腋窩リンパ節郭清を行わなかった方です。
③は、乳がんに対する手術として、胸筋温存乳房切除または部分切除と腋窩リンパ節郭清を行なった方です。術後のドレナージが必要で、また乳房切除では創部の注意深い観察と乳房切除後は肩関節の拘縮予防のためのリハビリ、郭清のためのリンパ浮腫予防の指導などを行なうため、入院がやや長くなっています。
④は、乳がんの術前薬物療法の初回などで、副作用の管理と指導などのため、入院で治療しています。
⑤は、自然気胸などに対して内科から転科または他院より転院で、胸腔鏡下に破綻した嚢胞性病変の切除術を行った患者様です。

産婦人科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 46 4.85 3.02 0.00 36.78
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍  45 7.07 6.04 0.00 48.56
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 45 9.64 9.38 2.22 32.47
120090xx97xxxx 生殖器脱出症 42 8.26 8.07 0.00 73.90
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 31 7.06 5.98 0.00 45.87
  • 卵巣腫瘍
    一般に腫瘍が小さいときは無症状のことが多く、日常生活に支障はありません。
    卵巣腫瘍の付け根がねじれること(卵巣腫瘍茎捻転)があり、激しい下腹痛が出現することがあります。
    卵巣腫瘍の破裂も同様な症状を認めます。
    また時に直径20㎝を超えるような巨大腫瘍になることがあり(間違って最近太ってきたと思われることもあるようです)、妊婦のようにお腹が前に突き出ることがあります。
    腫瘍が大きくなると膀胱や直腸の圧迫による頻尿や便秘、リンパ管の圧迫による下肢浮腫などが起こります。
    当科では主に腹腔鏡下手術により腫瘍を摘出しています。悪性が疑われるときは基本的には開腹術を行っています。
  • 子宮下垂・子宮脱
    子宮が正常の位置より下降したものを子宮下垂といい、これがひどくなり外陰部より子宮の一部または全部が脱出するものを子宮脱といいます。
    多くの場合子宮が下降するときは、腟・膀胱・直腸などの臓器を引き連れて下がります。
    程度の軽いものは無症状で、婦人科健診などで指摘されて初めて気づきますが、症状が進むと丸くて硬いものが外陰部に触れるようになり、さらに進行すると排尿障害や排便障害の原因にもなります。
    当科では腹部切開を伴わない腟式手術を行っており、術後は比較的早期に退院できます。また、卵巣腫瘍や子宮筋腫を合併している場合は腹腔鏡下手術を併用し、同時に治療することも可能です。

眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 76 2.88 2.63 0.00 74.89
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 手術あり 両眼 - - 4.67 - -
020200xx9710xx 黄斑、後極変性(手術あり) - - 5.80 - -
020210xx01x0xx 網膜血管閉塞症 - - 8.41 - -
020240xx97xxx0 硝子体疾患 - - 5.07 - -

外来体制、手術体制は令和3年度と同様ですが、令和4年度は外来患者数の増加により、入院症例が増えました。

耳鼻咽喉科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030230xxxxxxxx ①扁桃、アデノイドの慢性疾患 27 8.30 7.73 0.00 28.59
030428xxxxxxxx ②突発性難聴 24 7.21 8.56 0.00 61.08
030390xx99xxxx ③顔面神経障害 22 7.50 8.81 0.00 56.55
030350xxxxxxxx ④慢性副鼻腔炎 17 7.12 6.23 0.00 58.35
030240xx01xx0x ⑤扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 13 7.69 8.15 0.00 46.77

①扁桃・アデノイドの慢性疾患
幼小児期の扁桃・アデノイド肥大は、いびき・呼吸困難の原因となり、また難治性の滲出性中耳炎の原因にもなり、手術適応になる場合があります。成人の慢性扁桃炎も感染を繰り返す場合には予防目的に手術適応となります。

②突発性難聴
感音難聴の中でも、急性に発症する難聴は加療によって治癒する可能性があります。重症例では、めまいを伴うこともあります。急性期に受診された症例(発症2週間以内)には、入院の上でステロイドホルモンの点滴加療(約1週間)をお勧めしています。

③顔面神経障害
末梢性の顔面神経麻痺の中等度から高度の麻痺に関しては、発症1週間以内にステロイド・抗ウイルス薬加療を開始すると有効と言われています。当院では入院を1週間ほどして頂きステロイド・抗ウイルス薬投与を行っています。

④慢性副鼻腔炎
慢性副鼻腔炎の保存加療にて治癒困難例に対し、入院の上で全身麻酔下に内視鏡下手術を行っています。症例の重症度に合わせて各手術形式の適応を判断しています。

⑤扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽喉頭炎
耳鼻咽喉科領域の急性疾患の多くは上気道炎で、その中でも急性扁桃炎・扁桃周囲膿瘍は嚥下困難・呼吸困難度の症状により入院加療が必要になる事が多く、重症例では切開排膿の処置も必要になります。ほとんどの症例では抗生剤などの点滴加療で保存的に治癒が可能です。

脳神経内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010110xxxxx4xx 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 15 12.80 16.50 6.67 74.80
010155xxxxx00x 運動ニューロン疾患等 11 3.91 13.13 9.09 72.73
010130xx99x0xx 重症筋無力症 - - 12.65 - -
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) - - 19.58 - -
010090xxxxx0xx 多発性硬化症 - - 14.51 - -

当科の入院患者の特徴として、免疫介在性・炎症性ニューロパチー、重症筋無力症、多発性硬化症等の自己免疫疾患や脳血管障害、運動ニューロン疾患等、全般的に偏りなく診療していることが挙げられます。ただし、慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、免疫グロブリン療法を維持療法として使用してる患者がおり、入院患者数の増加に関与しているようです。ほぼ全国平均と同程度の在院日数となっています。

皮膚科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物(皮膚、皮下腫瘍摘出術) 45 2.04 3.94 0.00 53.64
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)(皮膚悪性腫瘍切除術等) 41 2.90 7.29 0.00 81.49
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 32 6.94 9.25 3.12 62.25
080010xxxx0xxx 膿皮症 30 17.13 13.50 3.33 67.30
080190xxxxxxxx 脱毛症 10 3.00 3.34 0.00 50.50

皮膚の良性・悪性腫瘍に対する手術を入院の上、手術室で行っています。帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウィルスの再活性化により体の片側に痛みを伴う水疱が出る病気で、しばしば入院加療を行っています。急性膿皮症の多くは丹毒、蜂窩織炎といった皮膚の細菌感染症であり、高熱が出たり腫脹や痛みが強い場合には入院して抗生剤の点滴治療を行っています。進行性の脱毛症に対するステロイドパルス療法を入院で行っています。
その他にアトピー性皮膚炎、急性蕁麻疹、薬疹、水疱症、難治性皮膚潰瘍などに対して入院管理を行っています。

泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍(前立腺針生検) 135 2.24 2.45 0.00 72.41
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍(膀胱悪性腫瘍手術) 92 9.54 6.85 1.09 75.24
11012xxx03xxxx 上部尿路疾患(体外衝撃波腎・尿管結石破砕術) 77 2.66 2.49 0.00 60.87
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患(経尿道的尿路結石除去術) 71 7.01 5.29 0.00 64.80
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 33 12.33 13.61 9.09 74.88

令和3年度とほぼ同等の結果で、前立腺悪性腫瘍は増加傾向にあり、前立腺針生検による入院精査が主に反映されていますが、手術支援ロボット(ダヴィンチ)の導入で、手術症例が増加したことも一因にあると考えられます。膀胱腫瘍、上部尿路疾患(尿路結石)の患者数は県内で上位にはいる患者数です。在院日数が全国平均より長めですが、ご高齢の方が多いこと、また、島原半島などの遠隔地より来院されており、退院後、外来通院がやや困難である事が原因です。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

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初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 76 10 12 25 14 - 1 7,8
大腸癌 33 38 27 39 - 46 1 6,7,8
乳癌 28 26 16 - - 19 1 8
肺癌 49 - 59 87 30 86 1 7,8
肝癌 - - - - - 15 1 8

※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約

  • 胃癌では早期癌の治療例が増加し、進行癌症例数は減少傾向にあるようです。
  • 大腸癌では早期癌から進行癌まで広く分散しています。依然、外科治療が中心ですが進行例、再発例の多くで薬物療法が施行されており顕著な変化はないようです。
  • 乳癌は初回治療の多くが外科で治療を受けられていますが、再発後は外来で薬物療法を続ける患者さんが非常に多いようです。
  • 肺癌も早期の癌から進行癌まで広く分散していますが、最初から遠隔転移を伴うstageⅣの患者さんが非常に多いようです。
  • 肝癌の診療数は減少傾向にあるようです。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

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患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 54 16.26 79.61
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -

患者数が最も多いのは中等症の患者さんですが、総数が令和3年度と同等であり、令和元年度以前と比較すると令和2年度以降減少したままです。原因として新型コロナウイルス感染症に対する感染予防による影響で、呼吸器感染症が減少したものと考えられます。重症度が上がるにつれて平均年齢が高く(軽症:61.25歳、中等症:79.61歳、重症:77.29歳、超重症:88歳)、在院日数も長くなる傾向があります。(軽症:14.38日、中等症:16.26日、重症:18.43日、超重症:25日)

脳梗塞の患者数等

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発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 47 19.17 76.02 35.59
その他 12 18.50 71.58 6.78

当院の脳梗塞の患者さんの多くは、発症3日以内の急性期脳梗塞です。頭部MRIは、24時間対応可能であり、入院直後より内服・点滴による加療を行い、発症早期よりリハビリテーションも開始します。
当院では、脳卒中連携パスを使用し、後方病院との連携をとり、脳卒中診療を行っております。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 110 6.62 10.12 8.18 71.60
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) 12 11.92 31.92 8.33 75.17
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) 12 8.33 6.17 8.33 74.83
K6112 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(四肢) - - - - -
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 - - - - -

【腎臓内科】
腎臓内科では、透析に関わる手術に関して、泌尿器科と連携して手術を行う形となっています。症例数1位の内シャント造設術は、血液透析を行うために必要なシャントの造設を行っています。症例数2、3位の経皮的シャント拡張術、血栓除去術、血管移植術、バイパス移植術については、透析継続が困難となる内シャント狭窄・閉塞に対する治療として行っています。症例数5位の連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置は、腹膜透析を行うために必要なカテーテルを腹腔内に留置しています。

【血液内科】
症例数4位は化学療法のためのポート作成目的での入院となっています。血液内科では、化学療法を施行する患者さんのうち、血管確保が難しい患者さんに対しては、化学療法前にポート作成を行っています。

消化器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2㎝未満) 369 1.06 1.08 0.00 67.72
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 88 3.60 9.38 9.09 75.36
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 70 3.24 13.00 10.00 76.57
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術) 58 1.74 8.79 0.00 74.45
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 47 1.79 6.89 2.13 71.13

大腸ポリープや大腸腫瘍に対して行う内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術の症例数は令和3年度より増加しています。大腸がんは全国的に増加傾向にあり、その元となる大腸ポリープ症例も増加傾向にあることが原因と思われます。内視鏡的粘膜切除術目的の2泊3日入院が典型的ですが、症例増加に対応するため、1泊2日でも治療可能となりました。
次いで胆道疾患や肝臓疾患に対して行われる内視鏡的胆道ステント留置術や総胆管結石に対する内視鏡治療である内視鏡的胆道結石除去術(乳頭切開術)があり、施行数はほぼ横ばいです。症状があり、急を要する病態であることもあり、コロナ禍の影響を受けにくく、増減しにくい手技と思われます。内視鏡的胆道ステント留置術は様々な病態で狭窄した胆道にチューブや金属のステントを留置し、胆汁の流れを良くする内視鏡治療です。また、内視鏡的乳頭切開術は総胆管結石症例に対する処置で、経乳頭的に結石を除去します。
早期胃癌に対する内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術)の対象は早期胃癌に限定されますが、術後入院日数も短く低侵襲的な治療と言えます。同様に早期大腸癌に対しても積極的に低侵襲な内視鏡治療を行っております。大腸ポリープ同様、早期大腸癌に対する内視鏡治療件数も増加傾向です。

循環器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 65 1.22 3.78 1.54 70.71
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 46 3.35 9.76 6.52 81.50
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) 32 0.00 14.34 0.00 72.03
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) 30 0.03 8.13 3.33 70.80
K597-2 ペースメーカー交換術 24 0.83 6.46 0.00 84.33

循環器内科における手術は、虚血性心疾患に対するPCI(:経皮的冠動脈インターベンション)、徐脈性不整脈に対するペースメーカ手術であり、PCIは、安定狭心症に対する待期的な冠動脈ステント留置術が最も多く、次いで経皮的冠動脈形成術(主にDCB:薬剤溶出バルーンによるPOBA:バルーン血管形成術)となっています。ACS(:急性冠症候群)に対する緊急PCIが62件を占めています。ペースメーカーは新規植え込み、交換術を併せて70件行っています。

外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 101 2.77 4.80 0.00 63.17
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 60 1.20 3.60 0.00 68.97
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 45 5.13 12.04 4.44 73.98
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 44 1.14 5.39 0.00 33.02
K655-22 腹腔鏡下胃切除術(悪性腫瘍手術) 17 2.82 19.35 5.88 67.18

外科で最も手術症例が多いのは胆嚢結石症等に対する胆嚢摘出術です。
腹腔鏡を用いてできるだけ患者さんにやさしい手術を心がけています。
癌に対する手術で最も多いのは結腸癌に対する結腸切除術です。その多くを腹腔鏡下手術にて行っています。
鼠径ヘルニアに対しては、、腹腔鏡下の手術を主体に行っています。
虫垂炎に対しては、症例によっては抗生剤にて治療を行った後に待機的に腹腔鏡下手術を行う症例が増加してきています。

整形外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨、上腕、大腿) 112 1.21 16.88 68.75 80.51
K0462 骨折観血的手術(前腕、下腿、手舟状骨) 96 1.33 11.02 32.29 59.98
K0483 骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕、下腿) 66 0.38 2.06 0.00 50.35
K0811 人工骨頭挿入術(肩、股) 51 1.27 17.71 72.55 82.47
K0821 人工関節置換術(肩、股、膝) 41 1.56 16.51 82.93 73.46

当院整形外科では、外傷を積極的に受け入れているため、骨折患者の手術が多いのが特徴です。特に高齢者の大腿骨近位部骨折が多くなっており、受傷早期に手術を行っています。また変形性膝関節症に対しては人工膝関節置換術を行っており、変形性股関節症に対して人工股関節置換術を行っています。

呼吸器外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4762 ①乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 30 2.13 6.90 0.00 58.27
K514-23 ②胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 25 4.08 13.16 0.00 67.96
K5131 ③胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 13 7.38 7.08 0.00 42.85
K514-21 ④胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 12 2.42 9.25 0.00 76.17
K4763 ⑤乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) - - - - -

①K4762は、乳癌に対する乳房温存手術でセンチネルリンパ節転移なく、腋窩リンパ節郭清手術を行わなかった方です。

②K514-23は、原発性または転移性肺癌に対して、胸腔鏡下に標準手術である肺葉切除またはそれより多くの肺の根治的な切除を受けた方です。

③K5131は、自然気胸または肺気腫などの続発性気胸で保存的治療で軽快しない方や再発を繰り返す方に、胸腔鏡下に肺嚢胞を切除する手術を行った方です。

④K514-21は、原発性または転移性肺癌に対して、肺機能を温存できる部分切除術を受ける方です。

⑤K4764は、乳房温存手術で、腋窩リンパ節郭清を行った患者さんです。センチネルリンパ節生検で腋窩リンパ節転移を認め、腋窩リンパ節郭清に移行した方もこちらに含まれます。

産婦人科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 65 1.26 4.95 0.00 45.94
K867 子宮頸部(腟部)切除術 40 1.08 2.78 0.00 36.75
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 40 1.93 7.60 0.00 32.73
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 39 1.03 4.85 0.00 48.67
K861 子宮内膜掻爬術 37 0.14 0.35 0.00 48.43
  • 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)
    腹腔鏡下付属器摘出術、卵巣腫瘍核出術は良性の卵巣腫瘍が手術の対象となります(悪性が疑われる場合は開腹術を選択します)。
    若い女性で妊孕性を考え卵巣の一部を温存したい場合は核出術を選択し、そうでない場合は付属器摘出術を行います。
    摘出臓器は基本的には臍部より摘出します。10㎝以上の大きい腫瘍でも内容を吸引することにより摘出が可能です。
    妊娠中での手術は14週前後に手術を行い、16週以降になると視野が悪くなり、手術が困難になります。
  • 腹腔鏡下腟式子宮全摘術
    • 全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH:total laparoscopic hysterectomy,)
      LAVHや腟式子宮全摘術など経腟的なアプローチが困難な症例に(未経産症例や既往帝切例など経腟分娩の既往がない症例、子宮内膜症などによる骨盤内癒着を疑わせる症例、子宮が大きくて小骨盤腔に入ってこない症例)適しています。
      子宮の回収は経腟的ですが、大きくて経腟的に困難である場合は、電動モルセレーターやロトカットなどを使用し回収することもあります。
  • 帝王切開術
    帝王切開術にはあらかじめ日時を決めて行う予定帝王切開術と経腟分娩のトラブル(母児の状態が悪化した場合や、分娩の進行不良など経腟分娩が困難と判断)から行われる緊急帝王切開術があります。
    • 予定帝王切開術
      前回帝王切開術の既往、子宮筋腫核出術などの既往、骨盤位など胎位・胎勢の異常、前置胎盤(異常出血があるときは緊急帝王切開術の場合もある)など
    • 緊急帝王切開術
      常位胎盤早期剥離、胎児機能不全、重症妊娠高血圧症候群、臍帯下垂・脱出、遷延分娩・分娩停止など、腹壁切開は下腹部縦切開と恥骨上部数㎝を横切開する下腹部横切開法(Pfannestiel法など)があり、子宮筋層は原則として子宮下部横切開を行います。麻酔法は腰椎麻酔・硬膜外麻酔が主流ですが、常位胎盤早期剥離や臍帯脱出など緊急を要する場合は全身麻酔を行うこともあります。

眼科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズ挿入)(その他) 80 0.00 1.93 0.00 74.69
K269 虹彩整復・瞳孔形成術 - - - - -
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) - - - - -
K279 硝子体切除術 - - - - -
K281 増殖性硝子体網膜症手術 - - - - -

手術体制、診療体制は令和3年度と同様ですが、令和4年度は外来患者数が増えたことにより、水晶体再建術の件数が増えました。

耳鼻咽喉科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 ①口蓋扁桃手術(摘出) 25 1.00 6.20 0.00 31.24
K340-5 ②内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型 (選択的(複数洞)副鼻腔手術) 18 1.17 4.94 0.00 60.50
K368 ③扁桃周囲膿瘍切開術 13 0.08 5.92 0.00 46.23
K6261 ④リンパ節摘出術(長径3㎝未満) 10 0.30 2.80 0.00 67.80
K309 ⑤鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術 - - - - -

①口蓋扁桃摘出術
成人の慢性扁桃炎で急性炎症を繰り返す際、小児の扁桃肥大で夜間の呼吸困難(いびき・無呼吸)などを認める際には手術をお勧めしています。全身麻酔下の手術で術後出血予防のため術後1週間の入院安静を必要とします。

②内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型
慢性副鼻腔炎の保存加療にて治癒困難例に対し、入院の上で全身麻酔下に内視鏡下手術を行っています。症例の重症度に合わせて各手術形式の適応を判断しています。

③扁桃周囲膿瘍切開
扁桃炎が重症化すると周囲に膿瘍を形成します。保存的加療のみでは重症化する可能性が高く、切開排膿術を行い、抗生剤の点滴加療を1週間ほど行います。

④ リンパ節摘出術
頸部リンパ節の腫脹の原因を調べるために、局所麻酔下にリンパ節を摘出する手術です。治療ではなく、検査のための手術です。術後1-2日入院にて経過を観察致します。

⑤鼓膜チューブ挿入術
小児難治性の滲出性中耳炎に対して、全身麻酔下にて鼓膜チューブ留置を行います。チューブは平均して2年ほど留置して、その後抜去します。

皮膚科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 42 0.10 1.79 0.00 81.10
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2㎝未満) 24 0.04 1.04 0.00 54.96
K0061 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3㎝未満) 20 0.00 1.00 0.00 54.75
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2㎝以上4㎝未満) - - - - -
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3㎝以上6㎝未満) - - - - -

皮膚科では多くの皮膚腫瘍の手術を行っています。
1番多い皮膚・皮下腫瘍摘出術は粉瘤、母斑細胞母斑、脂漏性角化症などの皮膚の良性腫瘍の手術で、部位や大きさによってKコードが分かれています。次いで多いのは基底細胞癌、有棘細胞癌などの皮膚癌の手術です。

泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 100 2.03 7.44 1.00 75.89
K768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術 76 0.51 1.16 0.00 60.95
K7811 経尿道的尿路結石除去術 (レーザー) 70 1.87 4.40 0.00 64.86
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 62 0.98 7.27 6.45 70.10
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 26 3.92 11.96 3.85 73.27

手術に関しては令和3年度とほぼ同様の結果です。膀胱癌に対する経尿道的手術が最多となっておりましたが、当院の特徴として上部尿路結石(腎・尿管結石)に対する治療として体外衝撃波およびレーザーを用いた経尿道的手術のどちらも選択可能となっており、症例毎に適した治療をお勧めしています。尿路結石のカテゴリーではDPC対象病院での全国病院別治療実績・手術件数で100位以内に入っています。手術支援ロボット(ダヴィンチ)の導入で来年度以降は変更が予想されます。

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

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DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 17 0.21
異なる 13 0.16
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 19 0.23
異なる - -

当院での全症例に対する敗血症は0.37%であり、令和3年度の0.45%と比べて減少し、厚生労働省による令和3年度の全国DPC対象病院データ集計結果よりやや低率となったことから、当院では令和4年度、重症感染症の受け入れは全国平均よりやや低率と考えられます。一方、手術・処置等の合併症発生率は0.24%で0.57%(全国)に比べてかなり少なく、DPCの最も医療資源を投入した病名と入院契機病名がほぼ全て同一であり、入院中に生じたものは0.01%と少ないことから、術後合併症を起こした患者さんは少ないことがわかります。

更新履歴
2023年9月27日
病院指標を公開しました。