- 年齢階級別退院患者数
- 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 脳梗塞の患者数等
- 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数
年齢区分 | 0~ | 10~ | 20~ | 30~ | 40~ | 50~ | 60~ | 70~ | 80~ | 90~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
患者数 | 974 | 153 | 221 | 350 | 548 | 922 | 1,713 | 2,228 | 1,681 | 368 |
当院は地域の急性期医療を担う役割を有している病院であり、昨年度DPC対象者は前年の8%増の9,158人でした。
10歳未満の小児と60歳以降の年代に患者年齢層のピークがあり、2峰性となっています。
一番のピークは70代にあり、24%ですが、それ以降の年代で合計4,277例(47%)と入院患者の高齢化が目立ちます。
各年代別で多い疾患を見ると、
10歳未満では気管支炎、気管支肺炎、喘息などの呼吸器系疾患が大部分であり、
10代では急性虫垂炎、腸炎・胃腸炎、
20代では扁桃炎や扁桃膿瘍などの耳鼻科疾患、妊娠悪阻や切迫早産、子宮頚部異形成などの産婦人科疾患が多く見られました。
30代では子宮頚部異形成、卵巣のう胞など産婦人科系疾患とが多くなります。
40代では子宮筋腫、末期腎不全、結腸ポリープ、乳がん、狭心症が多く見られます。
50代も40代と類似しており結腸ポリープについで腎不全、卵巣癌、狭心症が多く、これらについで尿管結石も見られます。
60代には結腸ポリープ、狭心症、末期腎不全、肺癌がほぼ横並びです。
70代では肺癌が162例と最も多く、ついで狭心症、結腸ポリープが多くなります。
80代以降では大腿骨骨折が最多で、ついでうっ血性心不全、末期腎不全、白内障、肺炎が主要な疾患です。
年代別に多い疾患を知ることで、ご自分の健康管理の参考にしていただければと思います。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
110280xx99000x | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 | 78 | 15.92 | 12.05 | 8.97 | 72.04 | |
110280xx02x00x | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全(シャント設置術等/副傷病名なし) | 64 | 20 | 8.75 | 12.5 | 68.3 | |
130030xx99x40x | 非ホジキンリンパ腫(リツキシマブ/副傷病名なし) | 64 | 14.92 | 16.17 | 0 | 73.8 | |
110280xx02x1xx | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全(シャント設置術等/人工腎臓) | 47 | 36 | 35.72 | 4.26 | 67.55 | |
110280xx99020x | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全(手術なし/腹膜灌流/副症病名なし) | 39 | 7 | 8.77 | 0 | 68.13 |
症例数1位と.5位は、慢性腎炎症候群の診断のための腎生検および加療、内シャント設置術をすでに行っている方の透析導入、維持透析の合併症の入院が含まれています。症例数2位と4位は、血液透析導入目的で内シャント設置術の入院が含まれています。内科(腎臓)では、腎臓内科の慢性腎炎症候群の診断、加療、慢性腎不全の透析導入、維持透析の合併症の入院が多くなっています。
症例数3位は非ホジキンリンパ腫に対するリツキシマブ併用化学療法で治療されている患者の繰り返しの入院が含まれています。
呼吸器内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
040040xx9910xx | 肺の悪性腫瘍(気管支鏡検査等) | 116 | 2.42 | 3.43 | 0 | 68.28 | |
040040xx99040x | 肺の悪性腫瘍(化学療法あり/薬剤指定なし)(定義副傷病なし) | 66 | 19.64 | 10.00 | 0 | 70.73 | |
040110xxxxx0xx | 間質性肺炎(手術・処置なし) | 39 | 13.51 | 19.06 | 2.56 | 75.08 | |
040081xx99x00x | 誤嚥性肺炎(手術・処置なし) | 34 | 20.97 | 20.92 | 50 | 83.38 | |
040040xx99041x | 肺の悪性腫瘍(化学療法あり/薬剤指定なし)(定義副傷病あり) | 33 | 21.03 | 17.28 | 3.03 | 70.58 |
呼吸器内科では肺の悪性腫瘍、主に肺がんの患者さんが多くなっており、症例数1,2,5位が肺がんに関するものです。症例数1位の肺の悪性腫瘍については主に気管支鏡検査目的の入院であるため、平均在院日数も短くなっています。症例数2位と5位の肺の悪性腫瘍については主に化学療法など治療目的の入院であるため平均在院日数がやや長め平均年齢が70歳程度となっています。症例数3位の間質性肺炎は、急性増悪に伴う入院が多いため平均在院日数がやや長くなっています。症例数4位の誤嚥性肺炎は平均年齢が80歳を超えており、肺炎の加療だけではなく嚥下機能訓練などもおこなうため在院日数が長期化する傾向があります。またADL回復までには時間がかかる症例も多くリハビリを含め転院率が高くなっています。
消化器内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060100xx01xx0x | 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) | 296 | 3.03 | 2.67 | 0.34 | 66.47 | |
060340xx03x00x | 胆管(肝内外)結石、胆管炎 | 126 | 9.67 | 10.08 | 8.73 | 74.58 | |
060020xx04x0xx | 胃の悪性腫瘍 | 60 | 10.87 | 8.52 | 0 | 72.3 | |
060050xx97x00x | 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) | 43 | 11.37 | 10.42 | 2.33 | 75 | |
060210xx99000x | ヘルニアの記載のない腸閉塞 | 41 | 8.78 | 8.95 | 7.32 | 70.02 |
消化器内科の最も多い症例は、大腸ポリープや大腸腫瘍に対する内視鏡切除であり、短期的・低侵襲的に加療を実施します。
次いで胆管結石や胆管炎といった胆道疾患があげられます。胆石で胆管が詰まって炎症が生じた場合は、チューブで胆汁の流出路を確保する(ステント留置)、胆石を除去する(乳頭切開術)などの内視鏡治療を行います。
消化管の内視鏡治療として、胃がんに対する治療があります。早期胃がんに対して上部消化管内視鏡を用いて治療を行います。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が主な治療法となっています。
肝・肝内胆管の悪性腫瘍に対して、局所治療、化学療法、胆道ドレナージ術を症例/病態に応じて実施しています。
腸閉塞症例が増加しており、症例に応じてイレウス管留置による減圧術を実施します。改善不良例や絞扼症例には外科手術を実施する事になります。
循環器内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
050050xx99100x | 狭心症、慢性虚血性心疾患(心臓カテーテル検査) | 254 | 2.21 | 3.01 | 2.76 | 68.28 | |
050050xx02000x | 狭心症、慢性虚血性心疾患(経皮的冠動脈ステント留置術等) | 123 | 4.2 | 4.47 | 1.63 | 70.83 | |
050130xx99000x | 心不全 | 121 | 16.89 | 17.66 | 17.36 | 84.14 | |
050210xx97000x | 徐脈性不整脈 | 47 | 12.98 | 11.01 | 10.64 | 79.89 | |
050030xx97000x | 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 | 36 | 12.92 | 12.52 | 0 | 71.22 |
循環器内科で最も多い症例は安定狭心症に対する心臓カテーテル検査入院です。検査結果から、現在の投薬継続で良いか、変更・追加が必要か、カテーテル治療が必要かを決定します。2番目に多いのが、安定狭心症、不安定狭心症に対するステント植え込み手術入院で、3番目に多いのが心不全による入院です。近年、高齢慢性心不全患者の急性増悪による入院が増加し、このような患者は不整脈を高率に合併しています。徐脈性不整脈に対するペースメーカー植え込み治療が4番目に多く、5番目が急性心筋梗塞になります。
リウマチ科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
070560xx99x00x | 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患(手術・処置なし) | 31 | 20.68 | 15.58 | 6.45 | 61.68 | |
070470xx99x0xx | 関節リウマチ(手術・処置なし) | 12 | 16.33 | 15.90 | 0 | 71.5 | |
070560xx99x6xx | 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患(ガンマグロブリン) | 12 | 41.75 | 28.25 | 8.33 | 63.92 | |
180010x0xxx0xx | 敗血症(1歳以上) | 10 | 20.2 | 19.01 | 10 | 73.1 | |
050130xx99000x | 心不全 | - | - | 17.66 | - | - |
リウマチ科の入院は、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎・多発性筋炎、血管炎症候群などの全身性臓器障害を伴う膠原病疾患が主体です。特に全身性エリテマトーデスは新薬の導入や難治性の皮膚筋炎・多発性筋炎へのガンマグロブリン大量点滴 ANCA関連血管炎へのリツキシマブ投与が増え、昨年度よりも入院患者数と在院日数が増加しています。また平成30年度は治療抵抗性の筋炎は例年より多く、γグロブリン使用例が増え、ADL低下症例が多く転院率も増えています。免疫抑制療法等にて敗血症の誘因となり得ますが症例数は昨年度と同様でした。関節リウマチの入院は高疾患活動性や器質化肺炎合併で精査加療目的にて入院し、ステロイドの増量や抗リウマチ薬(生物学的製剤を含む)の導入を行い、理学療法をとりいれ今後も早期退院を目指しています。
小児科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
040090xxxxxx0x | 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) | 221 | 6.1 | 6.19 | 0.45 | 0.93 | |
0400801199x00x | 肺炎等(1歳以上15歳未満) | 114 | 6.2 | 5.71 | 0 | 2.68 | |
040100xxxxx00x | 喘息 | 87 | 7.31 | 6.62 | 0 | 3.39 | |
060380xxxxx0xx | ウイルス性腸炎 | 79 | 3.8 | 5.42 | 0 | 4.05 | |
030270xxxxxxxx | 上気道炎 | 67 | 5.28 | 4.96 | 1.49 | 2.48 |
当院では、地域の開業医の先生方(主に小児科医)と連携をとりながら診療を行っています。
当科で最も多い症例は肺炎、急性気管支炎、喘息などの呼吸器疾患で乳児例も多くなっています。次に多いのがウィルス性腸炎などの消化器疾患など、感染症によるものが半数以上です。
そのほとんどがかかりつけ医からの紹介による緊急入院で、必要に応じて抗生剤点滴、酸素使用などによる入院治療を行っています。退院後は、かかりつけ医への逆紹介のうえ、外来での経過観察をお願いしております。
その他、当院および地域の産婦人科医とも連携をとり、呼吸障害や感染症などで入院管理が必要な新生児の対応も行っています。
外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060160x001xxxx | 鼠径ヘルニア(15歳以上) | 77 | 8.32 | 4.96 | 1.3 | 68.79 | |
060330xx02xxxx | 胆嚢疾患(胆嚢結石など) | 56 | 7.2 | 6.52 | 0 | 59.66 | |
060335xx02000x | 胆嚢水腫、胆嚢炎等 | 45 | 9.09 | 7.30 | 2.22 | 64.56 | |
060035xx01000x | 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 | 41 | 19.34 | 15.30 | 4.88 | 67.93 | |
060150xx03xxxx | 虫垂炎 | 28 | 6.32 | 5.49 | 0 | 34.89 |
鼠径ヘルニアに対しては、鼠径部を切開して行う前方アプローチの手術にくわえ、腹腔鏡下の手術も増加しており、現在では腹腔鏡手術が主体となりつつあります。
鼠径ヘルニアに次いで外科で手術症例が多いのは胆嚢結石症等に対する胆嚢摘出術です。
腹腔鏡を用いてできるだけ患者さんにやさしい手術を心がけています。
癌に対する手術で最も多いのは結腸癌に対する結腸切除術です。その多くを腹腔鏡下手術にて行っています。
虫垂炎に対しては、症例によっては抗生剤にて治療を行った後に待機的に腹腔鏡下手術を行う症例が増加してきています。
整形外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
160800xx01xxxx | 股関節・大腿近位の骨折 | 177 | 15.81 | 26.30 | 86.44 | 84.01 | |
160760xx97xxxx | 前腕の骨折 | 80 | 5.4 | 5.68 | 15 | 63.2 | |
160690xx99xx0x | 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) | 36 | 13.14 | 19.61 | 83.33 | 79.17 | |
160740xx01xx0x | 肘関節周辺の骨折・脱臼 | 22 | 6.59 | 5.55 | 18.18 | 30.68 | |
160850xx01xx0x | 足関節・足部の骨折・脱臼 | 20 | 17.8 | 16.24 | 30 | 42.6 |
当院整形外科では、高齢化に伴う骨粗鬆症関連の大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折(前腕骨折)、胸・腰椎圧迫骨折による入院患者がかなり多くなっています。その中でも大腿骨近位部骨折(股関節大腿近位骨折)が最多であり、入院後、早期に手術を行い、地域連携パスを用いて、術後2週を目安にリハビリ病院へ転院できるよう運用しており、全国平均をはるかに下回る在院日数を達成しています。次に多いのが、橈骨遠位端骨折(前腕の骨折)で、転位があるものに対しては、受傷後早期に腕神経ブロックを用いて手術を行い、術後1週前後で自宅へ退院を目標としています。3番目に多いのが、胸・腰椎圧迫骨折(胸椎、腰椎以下骨折損傷)ですが、コルセットによる保存療法を行い、疼痛が軽減し歩行訓練ができるようになったら、リハビリ病院へ転院する運びとなっています。肘周辺の骨折は、小児の骨折も多数含まれているために平均年齢が低くなっています。足関節骨折は転院せずに自宅退院する場合が多いため、全国平均よりは在院日数がわずかですが長めとなっています。
脳神経外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
160100xx99x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷 | 10 | 6.5 | 7.35 | 10 | 32 | |
010050xx02x00x | 非外傷性硬膜下血腫 | - | - | 11.80 | - | - | |
010040x099000x | 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) | - | - | 18.72 | - | - | |
010060x2990401 | 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)/エダラボン | - | - | 16.18 | - | - | |
010060x2990201 | 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)・リハビリテーション | - | - | 16.16 | - | - |
脳神経外科では脳卒中診療を神経内科と協力して行っています。手術やカテーテル治療を要する場合は近隣の高次施設と連携をとって対応しています。最も入院数が多いのは比較的軽症で手術を要さない頭部外傷ですが、穿頭術やドレナージ等の局所麻酔で行える手術は施行しています。
呼吸器外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
①040040xx97x0xx | 肺の悪性腫瘍(手術あり) | 38 | 16.95 | 11.87 | 0 | 69.29 | |
②090010xx02x0xx | 乳房の悪性腫瘍(腋窩リンパ節郭清を伴わない手術) | 36 | 10.44 | 6.23 | 2.78 | 61.67 | |
③090010xx01x0xx | 乳房の悪性腫瘍(腋窩リンパ節郭清を伴う手術等) | 17 | 17.88 | 10.59 | 5.88 | 68.94 | |
④090010xx99x4xx | 乳房の悪性腫瘍(化学療法あり) | 15 | 7.27 | 4.28 | 6.67 | 52.87 | |
⑤090010xx99x00x | 乳房の悪性腫瘍(手術・処置なし) | 10 | 11.9 | 8.37 | 10 | 57.5 |
①は、原発性または転移性肺癌に対して、根治的な切除手術を行った方です。
②は、乳がんに対する手術として、乳房温存手術でセンチネルリンパ節生検の結果、腋窩リンパ節郭清を行わなかった方です。
③は、乳がんに対する手術として、胸筋温存乳房切除または部分切除と腋窩リンパ節郭清を行なった方です。術後のドレナージが必要で、また乳房切除では創部の注意深いケアと肩関節の拘縮予防のためのリハ、郭清のためのリンパ浮腫予防の指導などを行なうため、入院がやや長くなっています。
④は、乳がんの術前化学療法の初回などで、副作用の管理と指導などのため、入院で治療しています。
⑤は、乳がんの再発または化学療法後の発熱性好中球減少症の治療や緩和治療のために入院加療した方です。
産婦人科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
①120060xx02xxxx | 子宮の良性腫瘍 | 46 | 7.17 | 6.16 | 0 | 46.09 | |
②120070xx02xxxx | 卵巣の良性腫瘍 | 44 | 6.98 | 6.28 | 0 | 51.32 | |
③120090xx97xxxx | 生殖器脱出症 | 44 | 7.66 | 8.86 | 0 | 71.5 | |
④120230xx02xxxx | 子宮の非炎症性障害 | 33 | 1.03 | 2.44 | 0 | 49.91 | |
⑤120180xx01xxxx | 胎児及び胎児付属物の異常 | 30 | 8.6 | 9.70 | 0 | 33.43 |
①子宮筋腫
基本的には良性の腫瘍で、女性ホルモンにより筋腫は大きくなりますが、逆に閉経後には小さくなります。複数個できることが多く、大きさやできた場所によって症状は違ってきます。代表的な症状は過多月経と月経痛ですが、
・子宮の内側(粘膜下筋腫):不正性器出血、不妊症の原因
・子宮の筋肉の中(筋層内筋腫)大きくなると不正性器出血、流早産の原因
・子宮の外側(漿膜下筋腫):大きくなるまでは症状が乏しい などの症状があります。
診断は外来の一般的な診察と超音波で簡便に診断でき、大きな筋腫や手術を考えるときにはMRI検査を行います。
また大きな筋腫では約0.5%に子宮肉腫が含まれています。
当科で行っている手術は
・筋腫だけを取る筋腫核出術(腹腔鏡手術が主、開腹手術)
・子宮を取ってしまう子宮全摘術(腹腔鏡手術が主、開腹手術) です。
②卵巣腫瘍
一般に腫瘍が小さいときは無症状のことが多く、日常生活に支障はありません。
卵巣腫瘍の付け根がねじれること(卵巣腫瘍茎捻転)があり、激しい下腹痛が出現することがあります。
卵巣腫瘍の破裂も同様な症状を認めます。
また時に直径20㎝を超えるような巨大腫瘍になることがあり(間違って最近太ってきたと思われることもあるようです)、
妊婦のようにお腹が前に突き出ることがあります。
腫瘍が大きくなると膀胱や直腸の圧迫による頻尿や便秘、リンパ管の圧迫による下肢浮腫などが起こります。
当科では主に腹腔鏡下手術により腫瘍を摘出しています。悪性が疑われるときは基本的には開腹術を行っています。
眼科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
020110xx97xxx0 | 白内障、水晶体の疾患 | 200 | 3 | 2.84 | 0 | 75.05 | |
020230xx97x0xx | 眼瞼下垂 | - | - | 3.15 | - | - | |
020250xx97xxxx | 結膜の障害 | - | - | 3.37 | - | - | |
020370xx97xxxx | 視神経の疾患/手術あり | - | - | 13.34 | - | - | |
視神経の疾患/手術なし | - | - | 10.63 | - | - |
眼科常勤医が1名のみである事などから、30年度の手術は白内障に限られており、平均在院日数は全国並です。
耳鼻咽喉科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
①030230xxxxxxxx | 扁桃、アデノイドの慢性疾患 | 41 | 8.27 | 7.89 | 0 | 27.98 | |
②030428xxxxxxxx | 突発性難聴 | 37 | 6.38 | 9.02 | 0 | 57.65 | |
③030350xxxxxxxx | 慢性副鼻腔炎 | 24 | 7 | 7.04 | 0 | 58.96 | |
④030240xx99xxxx | 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 | 23 | 6.26 | 5.43 | 0 | 35.96 | |
⑤030390xx99xxxx | 顔面神経障害 | 22 | 6.45 | 9.26 | 0 | 45.91 |
脳神経内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
010155xxxxx00x | 運動ニューロン疾患等 | 22 | 6.32 | 13.66 | 0 | 69.36 | |
010160xx99x00x | パーキンソン病 | 21 | 19.1 | 17.67 | 33.33 | 77.62 | |
010061xxxxx0xx | 一過性脳虚血発作 | 13 | 6.46 | 6.24 | 0 | 73.77 | |
010230xx99x00x | てんかん | 13 | 9 | 7.28 | 15.38 | 67.23 | |
010080xx99x011 | 脳脊髄の感染を伴う炎症 | - | - | 23.92 | - | - |
当科の入院患者の特徴として運動ニューロン疾患やパーキンソン病等、変性疾患が多いことが挙げられます。ただし、運動ニューロン疾患の場合は診断目的で入院されることが多く、パーキンソン病は、既に外来で診断がなされ、入院中は、主に抗パーキンソン病薬の調整やリハビリ目的となります。そのため、運動ニューロン疾患の平均在院日数は6.32日と短くなっています。一過性脳虚血発作やてんかん等の急性期疾患も増加傾向にあります。ほぼ全国平均と同程度の在院日数となっています。
皮膚科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
080020xxxxxxxx | 帯状疱疹 | 68 | 6.85 | 8.98 | 0 | 66.78 | |
080010xxxx0xxx | 膿皮症 | 55 | 8.05 | 12.51 | 1.82 | 58.6 | |
080007xx010xxx | 皮膚の良性新生物 | 44 | 2.16 | 4.05 | 0 | 58.64 | |
080006xx01x0xx | 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) | 35 | 5.69 | 8.16 | 0 | 79.4 | |
080190xxxxxxxx | 脱毛症 | 19 | 3 | 3.52 | 0 | 51.11 |
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウィルスの再活性化により体の片側に痛みを伴う水疱が出る病気で、しばしば入院加療を行っています。
急性膿皮症の多くは丹毒、蜂窩織炎といった皮膚の細菌感染症であり、高熱が出たり腫脹や痛みが強い場合には入院して抗生剤の点滴治療を行っています。
皮膚の良性・悪性腫瘍に対する手術を入院の上、手術室で行っています。
その他にアトピー性皮膚炎、急性蕁麻疹、薬疹、水疱症、難治性皮膚潰瘍などに対して入院管理を行っています。
泌尿器科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
110080xx991x0x | 前立腺の悪性腫瘍 | 87 | 2.05 | 2.53 | 0 | 71.72 | |
110070xx0200xx | 膀胱腫瘍 | 83 | 10.61 | 7.20 | 0 | 73.48 | |
11012xxx040x0x | 上部尿路疾患(体外衝撃波腎・尿管結石破砕術) | 53 | 3.06 | 2.72 | 0 | 54.32 | |
11012xxx020x0x | 上部尿路疾患(経尿道的尿路結石除去術) | 46 | 8.61 | 5.62 | 2.17 | 59.09 | |
110200xx02xxxx | 前立腺肥大症等 | 37 | 16.08 | 8.65 | 5.41 | 72.76 |
前立腺悪性腫瘍については前立腺針生検による入院精査が反映されています、2日入院のクリティカルパスで運用を行なっています。膀胱腫瘍、上部尿路疾患(尿路結石)の患者数は県内で上位にはいる数です。在院日数が全国平均より長めですが、ご高齢の方が多いこと、また、島原半島などの遠隔地より来られており、退院後、外来通院がやや困難である事が原因です。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
初発 | 再発 | 病期分類 基準(※) |
版数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||||
胃癌 | 72 | 17 | 18 | 26 | - | 38 | 1 | 6,7,8 |
大腸癌 | 42 | 28 | 39 | 100 | - | 39 | 1 | 6,7,8 |
乳癌 | 42 | 15 | - | 10 | - | 35 | 1 | 7,8 |
肺癌 | 61 | - | 63 | 120 | 36 | 85 | 1 | 7,8 |
肝癌 | - | 13 | 13 | 18 | - | 34 | 1 | 6,7,8 |
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
胃癌の内視鏡診断レベルは年々向上しており、外科的手術ではなく内視鏡的切除の対象となる早期胃癌が増加して来ています。しかし、一方で診断時すでに遠隔転移を来たした進行胃癌患者さんが依然多いのも特徴です。
大腸癌は増加を続けていますが、早期癌から進行癌まで満遍なく多い傾向があり、当院でも外科での手術治療が中心的役割を果たしています。たとえ肝転移を来たしていても外科的に切除されることも少なくありません。
乳癌の初回治療の多くは外科で手術を受けられていますが、術後にあるいは再発後もホルモン療法や化学療法を外来で続ける患者さんが非常に多いようです。
肺癌は、外科的切除を受けられる患者さんもそれなりに多いものの、最初からあるいは再発後に化学療法や放射線治療を受けられる方も非常に多いようです。
肝癌は癌の進行度だけでなく患者さんの肝臓の障害度(いたみ具合)に応じて治療法が選択されて行きます。
成人市中肺炎の重症度別患者数等
患者数 | 平均 在院日数 |
平均年齢 | |
---|---|---|---|
軽症 | 32 | 11.69 | 59.75 |
中等症 | 99 | 16.72 | 80.77 |
重症 | 18 | 16.78 | 83.06 |
超重症 | - | - | - |
不明 | - | - | - |
患者数が最も多いのは中等症の患者さんです。
成人市中肺炎は重症度が上がるほど高齢である傾向が認められ、かつ在院日数も長くなる傾向があります。
また、前医(ご紹介いただいた医院や病院)での治療が奏功しなかったなどの理由で軽症や中等症と判定されても入院加療となることがあり、そのため重症と比べて軽症や中等症が多い理由の一つとなっています。
脳梗塞の患者数等
発症日から | 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
---|---|---|---|---|
3日以内 | 66 | 20.76 | 78.35 | 34.12 |
その他 | 19 | 17.84 | 73.47 | 9.41 |
当院の脳梗塞の患者さんの多くは発症3日以内の急性期脳梗塞です。患者数としては、増加傾向にあります。入院直後より内服・点滴による加療を行い、発症早期よりリハビリテーションも開始します。
当院では、脳卒中連携パスを使用し、後方病院との連携を行って、脳卒中診療を行っております。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K610-3 | 内シャント設置術 | 108 | 7.32 | 19.57 | 7.41 | 67.23 | |
K6112 | 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(四肢) | 17 | 8.94 | 8.24 | 0 | 73.41 | |
K6147 | 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) | 16 | 12.44 | 19.44 | 12.5 | 71.38 | |
K616-4 | 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 | - | - | - | - | - | |
K635-3 | 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 | - | - | - | - | - |
内科(腎臓)では、血液透析と腹膜透析の導入の際、泌尿器科の先生と連携して手術を行って頂いています。症例数1位と3位の内シャント設置術は、内シャント設置術のみ、内シャント設置術から透析導入までの継続入院、維持透析患者さんのシャントトラブルによる再内シャント設置術が含まれています。
症例数2位は化学療法を施行する患者のうち、血管確保が難しい患者に対してのポート作成のための入院です。
消化器内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K7211 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) | 284 | 1 | 1.09 | 0 | 66.96 | |
K6871 | 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) | 106 | 1.92 | 6.92 | 10.38 | 73.72 | |
K6532 | 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) | 58 | 1.76 | 8.17 | 0 | 72.24 | |
K688 | 内視鏡的胆道ステント留置術 | 58 | 1.91 | 9.64 | 5.17 | 74 | |
K6152 | 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) | 38 | 1.42 | 8.74 | 2.63 | 74.5 |
大腸ポリープや大腸腫瘍に対して行う内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術の症例数が多くなっています。ポリペクトミー目的の2泊3日入院が典型的な症例です。次いで総胆管結石に対する内視鏡治療である内視鏡的胆道結石除去術(乳頭切開術)があり、経乳頭的に結石を除去します。
早期胃癌に対する内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層)の対象は早期胃癌に限定されますが症例が増加傾向にあり、術後日数も短く低侵襲的な治療と言えます。
胆道疾患や肝臓疾患に対して行われる内視鏡的胆道ステント留置術は様々な病態で狭窄した胆道にチューブや金属のステントを留置し、胆汁の流れを良くする手術です。この手術は、癌による閉塞性黄疸に対して化学療法前に減黄目的で行われたり、胆石症に対する内視鏡的胆道結石除去術(乳頭切開術)などの他の手術の前段階として行われることも多く、術後日数が長くなる傾向があります。
肝臓癌に対する化学塞栓術症例も増加しています。待機的に行う事が一般的ですが、破裂例の救急症例に対しても治療を行なっています。
循環器内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K5493 | 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) | 99 | 0.72 | 3.65 | 4.04 | 71.68 | |
K5972 | ペースメーカー移植術(経静脈電極) | 38 | 4.13 | 9.84 | 13.16 | 80.29 | |
K5492 | 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) | 31 | 0.1 | 8.1 | 3.23 | 73.06 | |
K5491 | 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) | 25 | 0.04 | 12.24 | 0 | 70.76 | |
K5463 | 経皮的冠動脈形成術(その他) | 15 | 0.73 | 2.47 | 0 | 70.47 |
循環器内科における手術は、安定狭心症に対する待期的な冠動脈ステント留置術が最も多く、それに次いでペースメーカーは新規植え込み術となっています。緊急カテーテルが必要なACS(急性心筋梗塞、不安定狭心症)に対する冠動脈インターベンション(ステント留置術)も年間50~80例おこなっています。
外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K672-2 | 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 101 | 1.96 | 5.01 | 0.99 | 61.33 | |
K719-3 | 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 | 40 | 3.98 | 14.95 | 5 | 68.53 | |
K634 | 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) | 39 | 1.72 | 4.26 | 0 | 63 | |
K6335 | ヘルニア手術5.鼠径ヘルニア | 38 | 3.45 | 5.87 | 2.63 | 74.68 | |
K718-21 | 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) | 26 | 1.04 | 4.27 | 0 | 35.73 |
外科で最も手術症例が多いのは胆嚢結石症等に対する胆嚢摘出術です。
腹腔鏡を用いてできるだけ患者さんにやさしい手術を心がけています。
癌に対する手術で最も多いのは結腸癌に対する結腸切除術です。その多くを腹腔鏡下手術にて行っています。
鼠径ヘルニアに対しては、鼠径部を切開して行う前方アプローチの手術にくわえ、腹腔鏡下の手術も増加しており、現在では腹腔鏡手術が主体となりつつあります。
虫垂炎に対しては、症例によっては抗生剤にて治療を行った後に待機的に腹腔鏡下手術を行う症例が増加してきています。
整形外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K0461 | 骨折観血的手術(大腿) | 132 | 1.5 | 12.73 | 78.03 | 79.83 | |
K0462 | 骨折観血的手術(前腕) | 85 | 1.19 | 9 | 30.59 | 61.06 | |
K0811 | 人工骨頭挿入術(股) | 73 | 1.77 | 13.11 | 83.56 | 84.11 | |
K0483 | 骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕) | 55 | 0.38 | 2.69 | 0 | 52.35 | |
K0821 | 人工関節置換術(股) | 37 | 1.38 | 20.46 | 48.65 | 73.57 |
当院整形外科では外傷を積極的に受け入れているため、骨折患者の手術が多いのが特徴です。その中でも、骨粗鬆症関連の大腿骨近位部骨折や橈骨遠位端骨折が多く、大腿骨転子部骨折や転位を伴わない大腿骨頚部内側骨折では骨接合術の適応となるため、骨折観血的手術(大腿)が最も多くなっています。また転位を伴う大腿骨頚部内側骨折では多くが人工骨頭挿入術(股)になるのでこれも多くなってきています。橈骨遠位端骨折では屈筋腱断裂を予防する目的で80才未満は半年後の抜釘を勧めております。また、以前在籍していた股関節を専門とする医師が平成31年3月まで定期的に外来診療・手術を行っており、人工関節置換術(股)が多かったという傾向があります。
呼吸器外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
①K4762 | 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) | 36 | 2.31 | 7.14 | 2.78 | 61.67 | |
②K514-23 | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) | 21 | 3.57 | 13.57 | 0 | 68.9 | |
③K4763 | 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) | 10 | 2.2 | 14.7 | 0 | 69.2 | |
④K514-21 | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) | 10 | 3.4 | 11 | 0 | 70.2 | |
⑤K5131 | 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) | - | - | - | - | - |
①K4762は、乳房温存手術でセンチネルリンパ節生検の結果、腋窩リンパ節郭清手術を行わなかった方です。
②K514-23は、原発性または転移性肺癌に対して、胸腔鏡下に標準手術である肺葉切除またはそれより多くの肺の根治的な切除を受ける方です。
③K4763は、胸筋温存乳房切除でセンチネルリンパ節生検の結果、腋窩リンパ節郭清手術を行わなかった方です。
④K514-21は、原発性または転移性肺癌に対して、肺機能を温存できる部分切除術を受ける方です。
⑤K5131は、自然気胸などで保存的治療で軽快しない方や再発を繰り返す方に、胸腔鏡下に肺嚢胞を切除する手術を行っています。
産婦人科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
①K877-2 | 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 | 89 | 1.38 | 5.03 | 0 | 50.89 | |
②K8882 | 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) | 73 | 1.05 | 4.95 | 0 | 47.62 | |
③K861 | 子宮内膜掻爬術 | 64 | 0 | 0.08 | 0 | 49.91 | |
④K8981 | 帝王切開術(緊急帝王切開) | 33 | 2.73 | 7.64 | 0 | 31.58 | |
⑤K8982 | 帝王切開術(選択帝王切開) | 27 | 1.11 | 6.85 | 0 | 35.15 |
①腹腔鏡下腟式子宮全摘術
・腹腔鏡補助下腟式子宮全摘術(LAVH:laparoscopically assisted vaginal hysterectomy)
子宮の良性疾患(子宮筋腫、子宮腺筋症など)を対象とし、
1.経腟分娩の既往があるものを原則とします
2.子宮の大きさは小児頭大以下(推定800g以下)とします
3.開腹術の既往があっても手術可能であるが、ダグラス窩の強度の癒着が予想あるいは確認された症例は除外します
4.巨大広靭帯内・頸部筋腫は除外します・全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH:total laparoscopic hysterectomy,)
1.LAVHや腟式子宮全摘術など経腟的なアプローチが困難な症例に
(未経産症例や既往帝切例など経腟分娩の既往がない症例、子宮内膜症などによる骨盤内癒着を疑わせる症例、
子宮が大きくて小骨盤腔に入ってこない症例)適しています。
子宮の回収は経腟的ですが、大きくて経腟的に困難である場合は、電動モルセレーターやロトカットなどを使用し回収することもあります。
②子宮附属器腫瘍摘出術(両側)
腹腔鏡下付属器摘出術、卵巣腫瘍核出術は良性の卵巣腫瘍が手術の対象となります(悪性が疑われる場合は開腹術を選択します)。
若い女性で妊孕性を考え卵巣の一部を温存したい場合は核出術を選択し、そうでない場合は付属器摘出術を行います。
摘出臓器は基本的には臍部より摘出します。10㎝以上の大きい腫瘍でも内容を吸引することにより摘出が可能です。
妊娠中での手術は14週前後に手術を行い、16週以降になると視野が悪くなり、手術が困難になります。
④⑤帝王切開術
帝王切開術にはあらかじめ日時を決めて行う予定帝王切開術と経腟分娩のトラブル(母児の状態が悪化した場合や、分娩の進行不良など経腟分娩が困難と判断)から行われる緊急帝王切開術があります。
・予定帝王切開術
前回帝王切開術の既往、子宮筋腫核出術などの既往、骨盤位など胎位・胎勢の異常、前置胎盤(異常出血があるときは緊急帝王切開術の場合もある)など
・緊急帝王切開術
常位胎盤早期剥離、胎児機能不全、重症妊娠高血圧症候群、臍帯下垂・脱出、遷延分娩・分娩停止など、腹壁切開は下腹部縦切開と恥骨上部数㎝を横切開する下腹部横切開法(Pfannestiel法など)があり、子宮筋層は原則として子宮下部横切開を行います。麻酔法は腰椎麻酔・硬膜外麻酔が主流ですが、常位胎盤早期剥離や臍帯脱出など緊急を要する場合は全身麻酔を行うこともあります。
眼科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K2821ロ | 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) | 200 | 0 | 2 | 0 | 75.05 | |
K2193 | 眼瞼下垂症手術(その他) | - | - | - | - | - | |
K224 | 翼状片手術(弁の移植を要する) | - | - | - | - | - | |
眼科での手術は、白内障に対する水晶体再建術のみです。入院加療が適している基礎疾患のある方、ご高齢の方を中心に開業医の先生方からご紹介いただき、2泊3日の入院加療を行っています。特に変化はありません。
耳鼻咽喉科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
①K3772 | 口蓋扁桃手術(摘出) | 38 | 1.68 | 6.03 | 0 | 27.61 | |
②K309 | 鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術 | 23 | 1.17 | 0.17 | 0 | 7.17 | |
③K6261 | リンパ節摘出術1.長径3cm未満 | 19 | 0.47 | 2.63 | 0 | 66.68 | |
④K340-5 | 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) | 18 | 1.22 | 4.83 | 0 | 62.11 | |
⑤K368 | 扁桃周囲膿瘍切開術 | 18 | 0.33 | 5.39 | 0 | 41.28 |
① 口蓋扁桃摘出術
成人の慢性扁桃炎で急性炎症を繰り返す際、小児の扁桃肥大で夜間の呼吸困難(いびき・無呼吸)などを認める際には手術をお勧めしています。全身麻酔下の手術で術後出血予防のため術後1週間の入院安静を必要とします。
②鼓膜チューブ挿入術
小児の難治性の滲出性中耳炎に対して、全身麻酔下にて鼓膜チューブ留置を行います。チューブは平均して2年ほど留置して、その後抜去します。
③ リンパ節摘出術
頸部リンパ節の腫脹の原因を調べるために、局所麻酔下にリンパ節を摘出する手術です。治療ではなく、検査のための手術です。術後1-2日入院にて経過を観察致します。
④ 内視鏡下鼻・副鼻腔手術 3型
慢性副鼻腔炎の保存加療にて治癒困難例に対し、入院の上で全身麻酔下に内視鏡下手術を行っています.症例の重症度に合わせて各手術形式の適応を判断しています。入院期間は通常5-6日となっています。
⑤扁桃周囲膿瘍切開
扁桃炎が重症化すると周囲に膿瘍を形成します。保存的加療のみでは重症化する可能性が高く、切開排膿術を行い、抗生剤の点滴加療を一週間ほど行います。
皮膚科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K0072 | 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) | 35 | 0.14 | 4.2 | 0 | 79.91 | |
K0051 | 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)1. 長径2cm未満 | 23 | 0 | 1 | 0 | 63.87 | |
K0061 | 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部外)1.長径3cm未満 | 18 | 0 | 1.06 | 0 | 54.5 | |
K0052 | 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)2. 長径2cm以上4cm未満 | 16 | 0 | 1.19 | 0 | 64.44 | |
K424 | 頬悪性腫瘍手術 | 10 | 0 | 1.8 | 0 | 81.5 |
皮膚科では多くの皮膚腫瘍の手術を行っています。
1番目に多いのは基底細胞癌、有棘細胞癌などの皮膚癌の手術です。
2番目と3番目に多い皮膚・皮下腫瘍摘出術は粉瘤や母斑細胞母斑(ほくろ)などの皮膚の良性腫瘍の手術で、部位や大きさによってKコードが分かれています。
泌尿器科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K8036イ | 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) | 83 | 2.51 | 8.22 | 0 | 73.14 | |
K768 | 体外衝撃波腎尿管結石破砕術(一連につき) | 53 | 0.57 | 1.66 | 0 | 54.25 | |
K7811 | 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) | 49 | 2.27 | 5.18 | 0 | 58.98 | |
K783-2 | 経尿道的尿管ステント留置術 | 33 | 1.45 | 9.06 | 12.12 | 69.03 | |
K8411 | 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) | 26 | 6.46 | 10.23 | 11.54 | 72.88 |
手術に関しては連年通り、膀胱癌に対する経尿道的手術が最多となっております。また当院の特徴として上部尿路結石(腎・尿管結石)に対する治療として体外衝撃波およびレーザーを用いた経尿道的手術のどちらも選択可能となっており、症例毎に適した治療をお勧めしています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
---|---|---|---|---|
130100 | 播種性血管内凝固症候群 | 同一 | - | - |
異なる | - | - | ||
180010 | 敗血症 | 同一 | 51 | 0.56 |
異なる | - | - | ||
180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | - | - |
異なる | - | - | ||
180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | 25 | 0.27 |
異なる | - | - |
当院での全症例に対する敗血症は0.56%であり、平成29年度と比べてやや増加し、厚生労働省による平成29年度の全国DPC対象病院データ集計結果と同等であることから、当院では30年度に重症感染症の受け入れは全国平均並みと考えられます。一方、手術・処置等の合併症発生率は0.27%で0.76%(全国)に比べてかなり少なく、全てDPC病名と入院契機病名が同一であり、入院中に生じたものはなく、主な合併症として入院されていたということです。合併症の多い患者さんは30年度は減少していると思われます。
① 扁桃・アデノイドの慢性疾患
幼小児期の扁桃・アデノイド肥大は、いびき・呼吸困難の原因となり、また難治性の滲出性中耳炎の原因にもなり、手術適応になる場合があります。成人の慢性扁桃炎も感染を繰り返す場合には手術適応となります。
② 突発性難聴
感音難聴の中でも、急性に発症する難聴は加療によって治癒する可能性があります。重症例では、めまいを伴うこともあります。急性期に受診された症例(発症1週間以内)には、入院の上でステロイドホルモンの点滴加療(約1週間)をお勧めしています。
③ 慢性副鼻腔炎
慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿)は鼻閉の主な原因の1つです。数ヶ月間内服治療を行っても改善がない場合は、手術の適応になります。高率に症状の改善が得られ、満足度が高い手術と言えます。ほとんどの場合、内視鏡で手術を行い、約1週間の入院が必要です。
④ 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽喉頭炎
扁桃周囲膿瘍・急性咽喉頭炎はのどの痛み・嚥下困難・呼吸困難などの原因となり、内服加療で改善しない場合入院が必要となります。主に抗生剤点滴加療を行いますが、重症例では切開排膿など外科的処置が必要になることもあります。
⑤顔面神経麻痺
末梢性の顔面神経麻痺の中等度から高度の麻痺に関しては、発症一週間以内にステロイド加療を開始すると有効と言われています。当院では入院は一週間ほどして頂きステロイド投与を行っています。