病院指標について
厚生労働省において検討された全国統一様式による病院指標について本院のデータを以下のとおり公開いたします。
本指標は、令和2年度中の退院患者についての統計であり、一般病棟に1回以上入院した患者を対象にDPC調査データ(様式1、様式4、Dファイル)を基に集計しております。
患者数が10未満の数値の場合は、(ハイフン)を掲載しています。
- 年齢階級別退院患者数
- 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 脳梗塞の患者数等
- 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数
年齢区分 | 0~ | 10~ | 20~ | 30~ | 40~ | 50~ | 60~ | 70~ | 80~ | 90~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
患者数 | 549 | 145 | 185 | 329 | 468 | 708 | 1,586 | 1,954 | 1,567 | 344 |
当院は地域の急性期医療を担う役割を有している病院ですが、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、昨年度DPC対象者は前年比11%減の7,835人と減少しました。特に小児患者の激減が影響して、患者年齢層のピークは前年度までの2峰性から70歳代をピークとする1峰性へと変化しています。60歳代以降の年代で合計5,451例(70%)と入院患者のいっそうの高齢化が目立ちます。
各年代別で多い疾患を見ると、
10歳未満では小児喘息、気管支炎、などの呼吸器系疾患が減少した影響で、熱性痙攣や慢性滲出性中耳炎が顔を出しました。
10代では急性虫垂炎、IgA腎症、以外にも橈骨遠位端骨折も顔を出しています。
20代では扁桃炎や急性虫垂炎、妊娠に関連した疾患、卵巣茎捻転などの産婦人科疾患が多く見られました。
30代では子宮頚部異形成、既往子宮手術後妊娠など産婦人科系疾患が多く、他に急性虫垂炎が見られます。
40代では子宮筋腫、尿管結石症、末期腎不全の常連に加えて肺癌が多く見られました。
50代では末期腎不全が最多で尿管結石症、卵巣がん、狭心症が多く、これらについで結腸ポリープも見られます。
60代では肺癌が117例と最も多く、末期腎不全、結腸ポリープ、狭心症の順です。
70代でも肺癌が144例と最も多く、ついで、末期腎不全、前立腺癌、狭心症が多くなります。
80代以降では末期腎不全が最多で、ついでうっ血性心不全、大腿骨骨折が主要な疾患です。
年代別に多い疾患を知ることで、ご自分の健康管理の参考にしていただければと思います。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
110280xx02x00x | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全(シャント設置術等)(副傷病なし) | 103 | 15.88 | 8.15 | 8.74 | 72.39 | |
110280xx9900xx | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 | 101 | 12.99 | 11.04 | 12.87 | 65.92 | |
10007xxxxxx1xx | 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く)(インスリン製剤(注射薬)) | 66 | 12.83 | 14.60 | 12.12 | 63.92 | |
110280xx9901xx | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全(人工腎臓その他の場合) | 42 | 13.07 | 14.01 | 4.76 | 70.90 | |
110280xx9902xx | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全(腹膜灌流) | 39 | 8.97 | 8.90 | 0.00 | 68.05 |
症例数1位は、血液透析導入目的で内シャント設置術、維持透析患者さんのシャントトラブルによる再内シャント設置術が含まれています。症例数第2, 4位は、慢性腎炎症候群の診断のための腎生検および加療、内シャント設置術をすでに行っている方の透析導入、維持透析の合併症の入院が含まれています。症例数5位は、腹膜透析の導入や腹膜透析関連の合併症、検査目的での入院を行っています。内科(腎臓)では、慢性腎炎症候群の診断、加療、慢性腎不全の透析導入、維持透析の合併症の入院が多くなっています。
症例数3位は、2型糖尿病患者さんの血糖コントロールおよび糖尿病教育目的での入院となっています。内科(糖尿病内分泌)では、2型糖尿病とともに1型糖尿病患者さんの入院治療も行っています。
呼吸器内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
040040xx9910xx | 肺の悪性腫瘍(気管支鏡検査等) | 105 | 2.30 | 3.39 | 0.00 | 68.80 | |
040040xx99040x | 肺の悪性腫瘍(化学療法あり)(副傷病なし) | 39 | 11.69 | 9.42 | 2.56 | 69.08 | |
040081xx99x0xx | 誤嚥性肺炎(手術・処置なし) | 34 | 15.35 | 20.51 | 26.47 | 84.62 | |
040040xx9900xx | 肺の悪性腫瘍(手術・処置なし) | 31 | 16.61 | 13.30 | 32.26 | 77.00 | |
040040xx99081x | 肺の悪性腫瘍(化学療法あり)(副傷病あり) | 27 | 16.00 | 13.64 | 0.00 | 67.81 |
呼吸器内科では肺の悪性腫瘍、主に肺癌の患者さんが多くなっており、症例数1,2,4,5位が肺癌に関するものです。症例数1位の肺の悪性腫瘍については気管支鏡検査目的の入院であるため平均在院日数が短くなっています。症例数2,4,5位の肺の悪性腫瘍については化学療法など治療目的の入院であるため平均在院日数がやや長めで平均年齢は約67~77歳となっています。症例数3位の誤嚥性肺炎は平均年齢が約85歳であり、肺炎の加療だけではなく嚥下機能訓練なども行うため在院日数が長期化する傾向があります。またADL(日常生活動作)回復までに時間がかる症例も多く、リハビリを含め転院率が高くなっています。
消化器内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060100xx01xxxx | 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) | 217 | 3.50 | 2.66 | 0.00 | 66.29 | |
060340xx03x00x | 胆管(肝内外)結石、胆管炎 | 115 | 11.53 | 9.53 | 7.83 | 78.46 | |
060020xx04xxxx | 胃の悪性腫瘍(内視鏡的胃ポリープ・粘膜切除術等) | 36 | 11.69 | 8.11 | 0.00 | 76.44 | |
060210xx99000x | ヘルニアの記載のない腸閉塞 | 36 | 11.03 | 9.08 | 5.56 | 74.22 | |
060060xx9710xx | 胆嚢、肝外胆管の悪性腫瘍 | 34 | 14.09 | 13.64 | 20.59 | 79.24 |
消化器内科の最も多い症例は、大腸ポリープや大腸腫瘍に対する内視鏡切除であり、短期的・低侵襲的に加療を実施します。次いで胆管結石や胆管炎といった胆道疾患があげられます。胆石で胆管が詰まって炎症が生じた場合は、チューブで胆汁の流出路を確保する(ステント留置)、胆石を除去する(乳頭切開術)などの内視鏡治療を行います。消化管の内視鏡治療として、胃がんに対する治療があります。早期胃がんに対して上部消化管内視鏡を用いて治療を行います。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が主な治療法となっています。腸閉塞症に対してはイレウス管留置による減圧術を実施します。改善不良例や絞扼症例には外科手術を実施することになります。肝・肝内胆管の悪性腫瘍に対して、局所治療、化学療法、胆道ドレナージ術を症例/病態に応じて実施しています。全体的に前年度よりコロナ禍の影響か症例数が少なくなっていますが、緊急を要する疾患患者数は横ばいとなっています。
循環器内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
050050xx9910xx | 狭心症、慢性虚血性心疾患(心臓カテーテル検査等) | 202 | 2.25 | 3.07 | 3.96 | 69.52 | |
050130xx9900xx | 心不全(手術・処置なし) | 102 | 17.84 | 17.23 | 16.67 | 83.01 | |
050050xx0200xx | 狭心症、慢性虚血性心疾患(経皮的冠動脈ステント留置術等) | 101 | 3.89 | 4.44 | 0.99 | 72.19 | |
050210xx97000x | 徐脈性不整脈 | 45 | 11.62 | 10.56 | 13.33 | 82.22 | |
050030xx97000x | 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む)、再発性心筋梗塞 | 44 | 16.00 | 12.09 | 2.27 | 68.30 |
循環器内科で最も多い症例は狭心症に対する心臓カテーテル検査入院です。検査結果を踏まえて現在の投薬継続で良いか、変更・追加が必要か、カテーテル治療が必要か決定します。2番目に多いのが心不全による入院です。近年、高齢慢性心不全患者の急性増悪による入院が増加しています。3番目に多いのが、安定狭心症、不安定狭心症に対するステント植え込み手術入院です。4番目が徐脈性不整脈、ペースメーカー植え込み症例、5番目に多いのが急性心筋梗塞になります。
リウマチ科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
070560xx99x00x | 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患(手術・処置なし) | 34 | 16.32 | 15.28 | 11.76 | 63.47 | |
070560xx99x01x | 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患(副傷病あり) | 16 | 20.81 | 25.09 | 6.25 | 64.94 | |
070470xx99x0xx | 関節リウマチ(手術・処置なし) | 14 | 20.14 | 15.90 | 14.29 | 71.93 | |
070470xx99x3xx | 関節リウマチ(処置あり) | - | - | 15.84 | - | - | |
110310xx99xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 | - | - | 13.00 | - | - |
リウマチ科の入院は、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎・多発性筋炎、血管炎症候群、混合性結合組織病、強皮症などの全身性臓器障害を伴う膠原病疾患が主体です。特に全身性エリテマトーデスはミコフェノール酸やベリムマブ、ANCA関連血管炎へのリツキシマブなどの有効性の高い治療導入が増加しました。また難治性膠原病疾患へのエンドキサンパルス療法の適応拡大に伴い、生命および臓器機能予後も改善しています。関節リウマチ(RA)は高齢発症RAや併発症(間質性肺炎、末梢神経障害、関節拘縮)症例が増え、ADL(日常生活動作)低下予防目的で治療方針の決定後は早期にリハビリ目的の転院を行っています。また関節リウマチへの生物学的製剤やJAK阻害剤の治療開始時の入院が増えていますが、令和2年度は新型コロナウイルス感染の流行に反比例して紹介症例が少ないこともあり、入院加療症例が少ない傾向でした。
小児科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
040100xxxxx00x | 喘息 | 76 | 6.47 | 6.46 | 0.00 | 2.93 | |
040090xxxxxx0x | 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) | 73 | 5.56 | 6.47 | 0.00 | 1.05 | |
030270xxxxxxxx | 上気道炎 | 37 | 4.86 | 4.85 | 0.00 | 2.49 | |
0400801199x00x | 肺炎等(1歳以上15歳未満) | 24 | 5.54 | 5.85 | 0.00 | 2.54 | |
140010x199x0xx | 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) | 24 | 8.33 | 6.13 | 4.17 | 0.00 |
当院では、地域の開業医の先生方(主に小児科医)と連携をとりながら診療を行っています。
当科で最も多い症例は肺炎、急性気管支炎、喘息などの呼吸器疾患で乳児例も多くなっています。次に多いのがウィルス性腸炎などの消化器疾患など、感染症によるものが半数以上です。
そのほとんどがかかりつけ医からの紹介による緊急入院で、必要に応じて抗生剤点滴、酸素使用などによる入院治療を行っています。退院後は、かかりつけ医への逆紹介のうえ、外来での経過観察をお願いしております。
その他、当院および地域の産婦人科医とも連携をとり、呼吸障害や感染症などで入院管理が必要な新生児の対応も行っています。
外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060160x001xxxx | 鼠径ヘルニア(15歳以上) | 54 | 7.48 | 4.86 | 0.00 | 68.59 | |
060035xx010x0x | 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 | 45 | 18.69 | 16.19 | 4.44 | 72.29 | |
060330xx02xxxx | 胆嚢疾患(胆嚢結石など) | 42 | 7.50 | 6.41 | 0.00 | 61.71 | |
060335xx02000x | 胆嚢炎等 | 32 | 8.78 | 7.23 | 0.00 | 61.66 | |
060150xx03xxxx | 虫垂炎 | 29 | 6.21 | 5.44 | 0.00 | 27.31 |
鼠径ヘルニアに対しては、腹腔鏡下の手術を主体に行っています。
癌に対する手術で最も多いのは結腸癌に対する結腸切除術です。その多くを腹腔鏡下手術にて行っています。
胆嚢結石症等に対してもそのほとんどを腹腔鏡を用いて施行しております。
虫垂炎に対しては、症例によっては抗生剤にて治療を行った後に待機的に腹腔鏡下手術を行う症例もあります。
総じて、腹腔鏡を用いた手術を中心に行い、できるだけ患者さんにやさしい手術を心がけています。
整形外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
160800xx01xxxx | 股関節・大腿近位の骨折 | 141 | 19.09 | 25.09 | 73.05 | 83.94 | |
160760xx97xx0x | 前腕の骨折 | 60 | 7.00 | 5.18 | 3.33 | 54.90 | |
160850xx01xxxx | 足関節・足部の骨折・脱臼 | 27 | 28.26 | 18.74 | 33.33 | 60.56 | |
160610xx01xxxx | 四肢筋腱損傷 | 19 | 22.74 | 17.59 | 89.47 | 66.21 | |
160740xx01xx0x | 肘関節周辺の骨折・脱臼 | 15 | 7.53 | 5.81 | 13.33 | 33.60 |
当院整形外科では、高齢化に伴う骨粗鬆症関連の大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折(前腕骨折)、胸・腰椎圧迫骨折による入院患者がかなり多くなっています。その中でも大腿骨近位部骨折(股関節大腿近位骨折)が最多であり、入院後、早期に手術を行い、地域連携パスを用いて、術後2週を目安にリハビリ病院へ転院できるよう運用しており、全国平均を下回る在院日数を達成しています。次に多いのが、橈骨遠位端骨折(前腕の骨折)で、転位があるものに対しては、受傷後早期に腕神経ブロックを用いて手術を行い、術後1週前後で自宅へ退院を目標としています。足関節骨折は転院せずに自宅退院する場合が多いため、全国平均よりは在院日数がわずかですが長めとなっています。肩関節を専門とする医師が肩腱板断裂の手術を行っていましたが、令和2年12月に退職し、肩腱板断裂の手術が今後は困難となりました。
脳神経外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
160100xx97x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷(手術あり) | 21 | 10.29 | 9.68 | 23.81 | 74.10 | |
010060x2990401 | 脳梗塞(脳卒中発症3日以内、かつJCS10未満)(エダラボン、リハビリテーション) | - | - | 15.64 | - | - | |
010040x099000x | 非外傷性頭蓋内血種(非外傷性硬膜下血種以外)(JCS10未満) | - | - | 18.86 | - | - | |
010060x2990201 | 脳梗塞(脳卒中発症3日以内、かつJCS10未満)(リハビリテーション) | - | - | 15.54 | - | - | |
160100xx99x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷(手術なし) | - | - | 8.18 | - | - |
脳神経外科では脳卒中診療を神経内科と協力して行っています。手術やカテーテル治療を要する場合は近隣の高次施設と連携をとって対応しています。最も入院数が多いのは比較的軽症で手術を要さない頭部外傷ですが、穿頭術やドレナージ等の局所麻酔で行える手術は施行しています。
呼吸器外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
040040xx97x00x | ①肺の悪性腫瘍(手術あり) | 33 | 16.03 | 10.83 | 3.03 | 68.61 | |
090010xx02xxxx | ②乳房の悪性腫瘍(腋窩郭清を伴わない手術) | 33 | 10.33 | 6.02 | 0.00 | 66.55 | |
090010xx010xxx | ③乳房の悪性腫瘍(腋窩郭清を伴う手術等) | 23 | 15.35 | 10.30 | 4.35 | 63.17 | |
090010xx99x4xx | ④乳房の悪性腫瘍(化学療法あり) | 17 | 8.24 | 4.15 | 0.00 | 60.24 | |
090010xx99x0xx | ⑤乳房の悪性腫瘍(手術・処置なし) | 15 | 13.87 | 9.58 | 13.33 | 72.93 |
①は、原発性または転移性肺癌に対して、根治的な切除手術を行った方です。
②は、乳がんに対する手術として、乳房温存手術でセンチネルリンパ節生検の結果、腋窩リンパ節郭清を行わなかった方です。
③は、乳がんに対する手術として、胸筋温存乳房切除または部分切除と腋窩リンパ節郭清を行なった方です。術後のドレナージが必要で、また乳房切除では創部の注意深い観察と肩関節の拘縮予防のためのリハビリ、郭清のためのリンパ浮腫予防の指導などを行なうため、入院がやや長くなっています。
④は、乳がんの術前薬物療法の初回などで、副作用の管理と指導などのため、入院で治療しています。
⑤は、乳がんの再発・癌性疼痛などで入院され、緩和治療の導入などのために入院治療となった方と、薬物治療中に発熱性好中球減少症などで入院になった方です。
産婦人科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
120010xx99x50x | ①卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍(化学療法あり) | 56 | 4.61 | 4.34 | 0.00 | 63.61 | |
120060xx02xxxx | ②子宮の良性腫瘍 | 41 | 7.32 | 6.10 | 0.00 | 46.95 | |
120070xx02xxxx | ③卵巣の良性腫瘍 | 41 | 7.32 | 6.16 | 0.00 | 47.88 | |
12002xxx02x0xx | ④子宮頸・体部の悪性腫瘍 | 37 | 4.49 | 3.11 | 0.00 | 35.08 | |
120090xx97xxxx | ⑤生殖器脱出症 | 33 | 8.27 | 8.43 | 0.00 | 71.30 |
- 卵巣腫瘍
一般に腫瘍が小さいときは無症状のことが多く、日常生活に支障はありません。
卵巣腫瘍の付け根がねじれること(卵巣腫瘍茎捻転)があり、激しい下腹痛が出現することがあります。
卵巣腫瘍の破裂も同様な症状を認めます。
また時に直径20㎝を超えるような巨大腫瘍になることがあり(間違って最近太ってきたと思われることもあるようです)、妊婦のようにお腹が前に突き出ることがあります。
腫瘍が大きくなると膀胱や直腸の圧迫による頻尿や便秘、リンパ管の圧迫による下肢浮腫などが起こります。
当科では主に腹腔鏡下手術により腫瘍を摘出しています。悪性が疑われるときは基本的には開腹術を行っています。 - 子宮下垂・子宮脱
子宮が正常の位置より下降したものを子宮下垂といい、これがひどくなり外陰部より子宮の一部または全部が脱出するものを子宮脱といいます。
多くの場合子宮が下降するときは、腟・膀胱・直腸などの臓器を引き連れて下がります。
程度の軽いものは無症状で、婦人科健診などで指摘されて初めて気づきますが、症状が進むと丸くて硬いものが外陰部に触れるようになり、さらに進行すると排尿障害や排便障害の原因にもなります。
当科では腹部切開を伴わない腟式手術を行っており、術後は比較的早期に退院できます。また、卵巣腫瘍や子宮筋腫を合併している場合は腹腔鏡下手術を併用し、同時に治療することも可能です。
耳鼻咽喉科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
030230xxxxxxxx | ①扁桃、アデノイドの慢性疾患 | 45 | 8.31 | 7.94 | 0.00 | 20.02 | |
030428xxxxxxxx | ②突発性難聴 | 28 | 7.14 | 8.81 | 3.57 | 58.79 | |
030430xx97xxxx | ③滲出性中耳炎、耳管炎、耳管閉塞 | 21 | 2.00 | 3.14 | 0.00 | 5.00 | |
030390xx99xxxx | ④顔面神経障害 | 18 | 7.17 | 9.17 | 0.00 | 53.78 | |
030240xx99xxxx | ⑤扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 | 16 | 6.94 | 5.63 | 0.00 | 46.75 |
- ①扁桃・アデノイドの慢性疾患
幼小児期の扁桃・アデノイド肥大は、いびき・呼吸困難の原因となり、また難治性の滲出性中耳炎の原因にもなり、手術適応になる場合があります。成人の慢性扁桃炎も感染を繰り返す場合には予防目的に手術適応となります。 - ②突発性難聴
感音難聴の中でも、急性に発症する難聴は加療によって治癒する可能性があります。重症例では、めまいを伴うこともあります。急性期に受診された症例(発症2週間以内)には、入院の上でステロイドホルモンの点滴加療(約1週間)をお勧めしています。 - ③滲出性中耳炎、耳管炎、耳管閉塞
主に、小児難治性の滲出性中耳炎に対して全身麻酔下にて鼓膜チューブ留置を行います。チューブは平均して2年ほど留置して、その後抜去します。 - ④顔面神経障害
末梢性の顔面神経麻痺の中等度から高度の麻痺に関しては、発症1週間以内にステロイド加療を開始すると有効と言われています。当院では入院を1週間ほどして頂きステロイド投与を行っています。 - ⑤扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽喉頭炎
耳鼻咽喉科領域の急性疾患の多くは上気道炎で、その中でも急性扁桃炎・扁桃周囲膿瘍は嚥下困難・呼吸困難度の症状により入院加療が必要になる事が多く、重症例では切開排膿の処置も必要になります。ほとんどの症例では抗生剤などの点滴加療で保存的に治癒が可能です。
脳神経内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
010110xxxxx4xx | 免疫介在性・炎症性ニューロパチー | 19 | 10.63 | 16.95 | 10.53 | 79.74 | |
010155xxxxx0xx | 運動ニューロン疾患等 | 14 | 6.07 | 13.40 | 7.14 | 70.21 | |
010060x2990401 | 脳梗塞(脳卒中発症3日以内、かつJCS10未満)(エダラボン) | 11 | 14.18 | 15.64 | 27.27 | 68.36 | |
010080xx99x0x1 | 脳脊髄の感染を伴う炎症 | - | - | 17.00 | - | - | |
010230xx99x00x | てんかん | - | - | 7.48 | - | - |
当科の入院患者の特徴として脳血管障害、てんかんや運動ニューロン疾患等、炎症性ニューロパチー等、全般的に偏りなく診療していることが挙げられます。ただし、慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、免疫グロブリン療法を維持療法として、使用してる患者がおり、入院患者数の増加に関与しているようです。一過性脳虚血発作やてんかん等の急性期疾患も増加傾向にあります。ほぼ全国平均と同程度の在院日数となっています。
皮膚科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
080020xxxxxxxx | 帯状疱疹 | 88 | 6.40 | 9.12 | 0.00 | 66.31 | |
080007xx010xxx | 皮膚の良性腫瘍 | 46 | 2.24 | 4.06 | 0.00 | 56.80 | |
080010xxxx0xxx | 膿皮症 | 44 | 8.09 | 12.87 | 0.00 | 64.95 | |
080006xx01x0xx | 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) | 43 | 2.93 | 7.71 | 2.33 | 78.77 | |
080190xxxxxxxx | 脱毛症 | 17 | 3.00 | 3.38 | 0.00 | 49.06 |
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウィルスの再活性化により体の片側に痛みを伴う水疱が出る病気で、しばしば入院加療を行います。次に、皮膚の良性・悪性腫瘍に対する手術を入院の上、手術室で行っています。急性膿皮症の多くは丹毒、蜂窩織炎といった皮膚の細菌感染症であり、高熱が出たり腫脹や痛みが強い場合には入院して抗生剤の点滴治療を行っています。進行性の脱毛症に対するステロイドパルス療法を入院で行っています。
その他にアトピー性皮膚炎、急性蕁麻疹、薬疹、水疱症、難治性皮膚潰瘍などに対して入院管理を行っています。
泌尿器科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
110080xx991xxx | 前立腺の悪性腫瘍(前立腺針生検) | 115 | 3.15 | 2.54 | 0.87 | 73.92 | |
110070xx03x0xx | 膀胱腫瘍(膀胱悪性腫瘍手術) | 97 | 10.51 | 7.13 | 0.00 | 75.51 | |
11012xxx04xxxx | 上部尿路疾患(体外衝撃波腎・尿管結石破砕術) | 85 | 3.68 | 2.66 | 1.18 | 59.96 | |
11012xxx020x0x | 上部尿路疾患(経尿的尿路結石除去術) | 74 | 9.78 | 5.67 | 2.70 | 61.19 | |
110310xx99xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 | 25 | 13.04 | 13.00 | 12.00 | 73.04 |
前立腺悪性腫瘍については前立腺針生検による入院精査が反映されています。2日入院のクリティカルパスで運用を行っています。膀胱腫瘍、上部尿路疾患(尿路結石)の患者数は県内で上位にはいる数です。すべてにおいて在院日数が全国平均より長めですが、ご高齢の方が多いこと、また、島原半島などの遠隔地より来院されており、退院後、外来通院がやや困難である事が原因です。順位は昨年度とほぼ変化ないようです。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
初発 | 再発 | 病期分類 基準(※) |
版数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||||
胃癌 | 52 | 11 | 11 | 28 | 10 | 23 | 1 | 6,7,8 |
大腸癌 | 37 | 27 | 34 | 33 | - | 35 | 1 | 6,7,8 |
乳癌 | 27 | 24 | 18 | - | - | 28 | 1 | 7,8 |
肺癌 | 45 | 16 | 53 | 101 | 30 | 98 | 1 | 7,8 |
肝癌 | - | - | 12 | - | - | 32 | 1 | 7,8 |
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
胃癌は全体として発症患者が減少にありますが、さらに半数は早期に発見されて内視鏡的に切除されているようです。
大腸癌は早期癌から進行癌まで満遍なく多く見られます。依然、外科治療が中心ですが薬物療法も進歩しており、進行例、再発例の多くで薬物療法が施行されています。
乳癌も初回治療の多くは外科で手術を受けられていますが、再発後も薬物療法を外来で続ける患者さんが非常に多いようです。
肺癌も早期の癌から進行癌まで満遍なく多いですが、最初からあるいは手術後再発に対して薬物療法や放射線治療を繰り返し受けられる方も非常に多いようです。
肝癌は癌の進行度だけでなく患者さんの障害度(いたみ具合)に応じて治療法が選択されています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等
患者数 | 平均 在院日数 |
平均年齢 | |
---|---|---|---|
軽症 | 14 | 14.21 | 61.50 |
中等症 | 57 | 18.28 | 78.68 |
重症 | 17 | 21.41 | 80.71 |
超重症 | - | - | - |
不明 | - | - | - |
患者数が最も多いのは中等症の患者さんですが、総数が昨年度よりも減少しています。原因として新型コロナウイルス感染症に対する感染予防による影響で、市中肺炎やインフルエンザなどの呼吸器感染症が減少したものと考えられます。重症度が上がるにつれて平均年齢が高く、在院日数も長くなる傾向があります。
脳梗塞の患者数等
発症日から | 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
---|---|---|---|---|
3日以内 | 77 | 19.84 | 77.32 | 39.77 |
その他 | 11 | 12.91 | 68.18 | 3.41 |
当院の脳梗塞の患者さんの多くは、発症3日以内の急性期脳梗塞です。患者数としては、増加傾向にあります。入院直後より内服・点滴による加療を行い、発症早期よりリハビリテーションも開始します。
当院では、脳卒中連携パスを使用し、後方病院との連携を行って、脳卒中診療を行っております。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K6121イ | 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) | 125 | 5.94 | 12.67 | 14.40 | 71.46 | |
K616-41 | 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) | 23 | 3.04 | 5.52 | 8.70 | 69.13 | |
K6147 | 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) | 15 | 7.13 | 30.40 | 0.00 | 76.40 | |
K6112 | 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(四肢) | 11 | 1.09 | 20.27 | 0.00 | 77.64 | |
K635-3 | 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 | - | - | - | - | - |
内科(腎臓)では、透析に関わる手術に関して、泌尿器科と連携して手術を行う形となっています。症例数1位の内シャント造設術は、血液透析を行うために必要なシャントの造設を行っています。症例数2, 3位の経皮的シャント拡張術、血栓除去術、血管移植術、バイパス移植術については、透析継続が困難となる内シャント狭窄・閉塞に対して行っています。症例数5位の連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術は、腹膜透析を行うために必要なカテーテルを腹腔内に留置しています。
症例数4位は化学療法のためのポート作成目的での入院となっています。内科(血液内科)では、化学療法を施行する患者さんのうち、血管確保が難しい患者さんに対しては、化学療法前にポート作成を行っております。
消化器内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K7211 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(直径2cm未満) | 184 | 1.01 | 1.40 | 0.00 | 66.20 | |
K688 | 内視鏡的胆道ステント留置術 | 96 | 2.65 | 11.61 | 14.58 | 78.01 | |
K6871 | 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) | 68 | 3.10 | 7.87 | 5.88 | 76.19 | |
K7212 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(直径2cm以上) | 38 | 1.55 | 2.97 | 0.00 | 67.13 | |
K6532 | 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術) | 35 | 2.06 | 8.66 | 0.00 | 76.29 |
大腸ポリープや大腸腫瘍に対して行う内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術の症例数は昨年より減少しています。検査や診療自粛などがあったコロナ禍の影響があるかと思われます。大腸ポリープや大腸腫瘍に関しては小径の病変に限らず、巨大ポリープや側方発育型腫瘍に対しても積極的に内視鏡治療を行います。内視鏡的粘膜切除術目的の2泊3日入院が典型的です。
次いで胆道疾患や肝臓疾患に対して行われる内視鏡的胆道ステント留置術や総胆管結石に対する内視鏡治療である内視鏡的胆道結石除去術(乳頭切開術)があり、施行数は増加傾向です。症状があり、急を要する病態であることもあり、コロナ禍の影響を受けにくい手技と言えます。胆道疾患や肝臓疾患に対して行われる内視鏡的胆道ステント留置術は様々な病態で狭窄した胆道にチューブや金属のステントを留置し、胆汁の流れを良くする内視鏡治療です。この治療は、癌による閉塞性黄疸に対して化学療法前に減黄目的で行われたり、胆石症に対する内視鏡的胆道結石除去術(乳頭切開術)などの他の手術の前段階として行われることも多く、術後日数がやや長くなる傾向があります。また、内視鏡的乳頭切開術は総胆管結石症例に対する処置で、経乳頭的に結石を除去します。近年は処置が難しいとされる、術後再建腸管症例の総胆管結石例に対してもバルーン内視鏡を用いて積極的に治療を行っています。
早期胃癌に対する内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層)の対象は早期胃癌に限定されますが、術後入院日数も短く低侵襲的な治療と言えます。
循環器内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K5493 | 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) | 79 | 1.42 | 3.01 | 0.00 | 71.04 | |
K5972 | ペースメーカー移植術(経静脈電極) | 40 | 2.58 | 8.80 | 15.00 | 82.30 | |
K5491 | 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) | 32 | 0.00 | 17.56 | 12.50 | 71.81 | |
K5492 | 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) | 31 | 0.10 | 8.97 | 3.23 | 72.29 | |
K5463 | 経皮的冠動脈形成術(その他) | 13 | 0.15 | 2.38 | 7.69 | 75.08 |
循環器内科における手術は、安定狭心症に対する待期的な冠動脈ステント留置術が最も多く、次いでペースメーカー植え込み術となっています。緊急カテーテルが必要なACS(急性心筋梗塞、不安定狭心症)に対する冠動脈インターベンション(ステント留置術)は365日24時間対応可能で、年間70件ほど行っています。
外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K672-2 | 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 79 | 2.87 | 5.34 | 1.27 | 61.95 | |
K719-3 | 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 | 47 | 5.23 | 13.62 | 6.38 | 70.87 | |
K634 | 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) | 36 | 1.28 | 4.86 | 0.00 | 67.28 | |
K718-21 | 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) | 30 | 0.60 | 4.63 | 0.00 | 29.97 | |
K6335 | 鼠径ヘルニア手術 | 18 | 2.22 | 4.94 | 0.00 | 71.22 |
外科で最も手術症例が多いのは胆嚢結石症等に対する胆嚢摘出術です。
腹腔鏡を用いてできるだけ患者さんにやさしい手術を心がけています。
癌に対する手術で最も多いのは結腸癌に対する結腸切除術です。その多くを腹腔鏡下手術にて行っています。
鼠径ヘルニアに対しては、腹腔鏡下の手術を主体に行っています。
虫垂炎に対しては、症例によっては抗生剤にて治療を行った後に待機的に腹腔鏡下手術を行う症例が増加してきています。
整形外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K0461 | 骨折観血的手術(大腿) | 108 | 1.81 | 16.48 | 72.22 | 80.56 | |
K0462 | 骨折観血的手術(前腕) | 71 | 1.56 | 11.59 | 15.49 | 62.79 | |
K0811 | 人工骨頭挿入術(股) | 56 | 2.18 | 16.38 | 66.07 | 83.68 | |
K0483 | 骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕) | 31 | 0.58 | 2.55 | 0.00 | 46.10 | |
K0463 | 骨折観血的手術(足) | 19 | 2.68 | 18.58 | 26.32 | 63.95 |
当院整形外科では外傷を積極的に受け入れているため、骨折患者の手術が多いのが特徴です。その中でも、骨粗鬆症関連の大腿骨近位部骨折や橈骨遠位端骨折が多く、大腿骨転子部骨折や転位を伴わない大腿骨頚部内側骨折では骨接合術の適応となるため、骨折観血的手術(大腿)が最も多くなっています。また転位を伴う大腿骨頚部内側骨折では多くが人工骨頭挿入術(股)になるのでこれも多くなってきています。橈骨遠位端骨折では屈筋腱断裂を予防する目的で80才未満は半年後の抜釘を勧めております。
脳神経外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K164-2 | 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 | 13 | 1.77 | 9.77 | 23.08 | 75.77 | |
K386 | 気管切開術 | - | - | - | - | - | |
K654 | 内視鏡的消化管止血術 | - | - | - | - | - | |
- | - | - | - | - | - | - | |
- | - | - | - | - | - | - |
脳神経外科では脳卒中診療を神経内科と協力して行っています。手術やカテーテル治療を要する場合は近隣の高次施設と連携をとって対応しています。最も入院数が多いのは比較的軽症で手術を要さない頭部外傷ですが、穿頭術やドレナージ等の局所麻酔で行える手術は施行しています。
呼吸器外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K4762 | ①乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩郭清を伴わない)) | 33 | 2.00 | 7.33 | 0.00 | 66.55 | |
K514-23 | ②胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) | 19 | 4.05 | 12.32 | 5.26 | 69.74 | |
K5131 | ③胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) | 11 | 4.82 | 6.82 | 0.00 | 40.45 | |
K4764 | ④乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩郭清を伴う)) | 10 | 2.40 | 9.70 | 0.00 | 56.40 | |
K514-21 | ⑤胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) | - | - | - | - | - |
①K4762は、乳房温存手術でセンチネルリンパ節生検の結果、腋窩リンパ節郭清手術を行わなかった方です。
②K514-23は、原発性または転移性肺癌に対して、胸腔鏡下に標準手術である肺葉切除またはそれより多くの肺の根治的な切除を受ける方です。
③K5131は、自然気胸などで保存的治療で軽快しない方や再発を繰り返す方に、胸腔鏡下に肺嚢胞を切除する手術を行っています。
④K4764は、乳房温存手術で、腋窩リンパ節郭清を行った患者さんです。センチネルリンパ節生検で腋窩リンパ節転移を認め腋窩リンパ節郭清に移行した方もこちらに含まれます。
⑤K514-21は、原発性または転移性肺癌に対して、肺機能を温存できる部分切除術を受ける方です。
産婦人科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K877-2 | ①腹腔鏡下膣式子宮全摘術 | 71 | 1.42 | 5.13 | 0.00 | 52.28 | |
K8882 | ②子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) | 48 | 1.25 | 5.00 | 0.00 | 49.15 | |
K861 | ③子宮内膜搔爬術 | 46 | 0.17 | 0.35 | 2.17 | 48.50 | |
K8981 | ④帝王切開術(緊急帝王切開) | 41 | 1.61 | 8.24 | 0.00 | 30.24 | |
K867 | ⑤子宮頸部(膣部)切除術 | 37 | 1.00 | 2.49 | 0.00 | 35.08 |
- ①腹腔鏡下腟式子宮全摘術
- ・全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH:total laparoscopic hysterectomy,)
LAVHや腟式子宮全摘術など経腟的なアプローチが困難な症例(未経産症例や既往帝切例など経腟分娩の既往がない症例、子宮内膜症などによる骨盤内癒着を疑わせる症例、子宮が大きくて小骨盤腔に入ってこない症例)に適しています。
子宮の回収は経腟的ですが、大きくて経腟的に困難である場合は、電動モルセレーターやロトカットなどを使用し回収することもあります。
- ・全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH:total laparoscopic hysterectomy,)
- ②子宮附属器腫瘍摘出術(両側)
- 腹腔鏡下附属器摘出術、卵巣腫瘍核出術は良性の卵巣腫瘍が手術の対象となります(悪性が疑われる場合は開腹術を選択します)。
若い女性で妊孕性を考え卵巣の一部を温存したい場合は核出術を選択し、そうでない場合は附属器摘出術を行います。
摘出臓器は基本的には臍部より摘出します。10㎝以上の大きい腫瘍でも内容を吸引することにより摘出が可能です。
妊娠中での手術は14週前後に手術を行い、16週以降になると視野が悪くなり、手術が困難になります。
- 腹腔鏡下附属器摘出術、卵巣腫瘍核出術は良性の卵巣腫瘍が手術の対象となります(悪性が疑われる場合は開腹術を選択します)。
- ④⑤帝王切開術
- 帝王切開術にはあらかじめ日時を決めて行う予定帝王切開術と経腟分娩のトラブル(母児の状態が悪化した場合や、分娩の進行不良など経腟分娩が困難と判断)から行われる緊急帝王切開術があります。
- ・予定帝王切開術
前回帝王切開術の既往、子宮筋腫核出術などの既往、骨盤位など胎位・胎勢の異常、前置胎盤(異常出血があるときは緊急帝王切開術の場合もある)など - ・緊急帝王切開術
常位胎盤早期剥離、胎児機能不全、重症妊娠高血圧症候群、臍帯下垂・脱出、遷延分娩・分娩停止など、腹壁切開は下腹部縦切開と恥骨上部数㎝を横切開する下腹部横切開法(Pfannestiel法など)があり、子宮筋層は原則として子宮下部横切開を行います。麻酔法は腰椎麻酔・硬膜外麻酔が主流ですが、常位胎盤早期剥離や臍帯脱出など緊急を要する場合は全身麻酔を行うこともあります。
耳鼻咽喉科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K3772 | ①口蓋扁桃手術(摘出) | 42 | 1.21 | 6.64 | 0.00 | 21.57 | |
K309 | ②鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術 | 18 | 1.00 | 0.00 | 0.00 | 5.22 | |
K368 | ③扁桃周囲膿瘍切開術 | 14 | 0.43 | 6.64 | 0.00 | 46.29 | |
K6261 | ④リンパ節摘出術(直径3cm未満) | 11 | 0.00 | 1.73 | 0.00 | 64.55 | |
K370 | ⑤アデノイド切除術 | - | - | - | - | - |
- ①口蓋扁桃摘出術
成人の慢性扁桃炎で急性炎症を繰り返す際、小児の扁桃肥大で夜間の呼吸困難(いびき・無呼吸)などを認める際には手術をお勧めしています。全身麻酔下の手術で術後出血予防のため術後1週間の入院安静を必要とします。 - ②鼓膜チューブ挿入術
小児難治性の滲出性中耳炎に対して、全身麻酔下にて鼓膜チューブ留置を行います。チューブは平均して2年ほど留置して、その後抜去します。 - ③扁桃周囲膿瘍切開
扁桃炎が重症化すると周囲に膿瘍を形成します。保存的加療のみでは重症化する可能性が高く、切開排膿術を行い、抗生剤の点滴加療を1週間ほど行います。 - ④リンパ節摘出術
頸部リンパ節の腫脹の原因を調べるために、局所麻酔下にリンパ節を摘出する手術です。治療ではなく、検査のための手術です。術後1-2日入院にて経過を観察致します。 - ⑤アデノイド切除
小児のいびきや睡眠時無呼吸症候群でアデノイド肥大が認められる場合は、内視鏡下で切除を行っています。
皮膚科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K0072 | 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) | 44 | 0.11 | 1.80 | 2.27 | 78.91 | |
K0051 | 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満) | 23 | 0.17 | 1.13 | 0.00 | 54.39 | |
K0061 | 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm未満) | 17 | 0.00 | 1.24 | 0.00 | 50.24 | |
K0052 | 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満) | - | - | - | - | - | |
K0062 | 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満) | - | - | - | - | - |
皮膚科では多くの皮膚腫瘍の手術を行っています。
1番多い皮膚・皮下腫瘍摘出術は粉瘤、母斑細胞母斑、脂漏性角化症などの皮膚の良性腫瘍の手術で、部位や大きさによってKコードが分かれています。次いで多いのは基底細胞癌、有棘細胞癌などの皮膚癌の手術です。
泌尿器科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K8036イ | 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) | 96 | 2.42 | 7.29 | 0.00 | 75.34 | |
K768 | 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術 | 86 | 0.99 | 1.87 | 1.16 | 59.94 | |
K7811 | 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) | 83 | 4.23 | 5.49 | 2.41 | 61.90 | |
K783-2 | 経尿道的尿管ステント留置術 | 39 | 1.46 | 6.85 | 5.13 | 70.10 | |
K8411 | 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) | 20 | 5.80 | 12.55 | 5.00 | 76.90 |
手術に関しては連年通り、膀胱癌に対する経尿道的手術が最多となっております。また当院の特徴として上部尿路結石(腎・尿管結石)に対する治療として体外衝撃波およびレーザーを用いた経尿道的手術のどちらも選択可能となっており、症例毎に適した治療をお勧めしています。症例数も年々増加傾向にあり、DPC対象病院での全国病院別治療実績・手術件数でも尿路結石のカテゴリーで100位以内に入っています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
---|---|---|---|---|
130100 | 播種性血管内凝固症候群 | 同一 | - | - |
異なる | - | - | ||
180010 | 敗血症 | 同一 | 42 | 0.54 |
異なる | 11 | 0.14 | ||
180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | - | - |
異なる | - | - | ||
180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | 18 | 0.23 |
異なる | - | - |
当院での全症例に対する敗血症は0.68%であり、令和元年度と比べて増加し、厚生労働省による令和元年度の全国DPC対象病院データ集計とほぼ同率となったことから、当院では令和2年度、重症感染症の受け入れは全国平均と同等と考えられます。一方、手術・処置等の合併症発生率は0.23%で0.56%(全国)に比べてかなり少なく、DPC病名と入院契機病名が全て同一であり、入院中に生じたものはなく、入院時から合併されていたということです。術後合併症の多い患者さんは少ないことがわかります。
- 2021年9月30日
- 令和2年度 病院指標を掲載しました。