放射線治療部門

診療・各部門

放射線治療室は1階のがん治療センター内にあります。当院では放射線治療装置(リニアック)2台を用いて体外からX線や電子線を照射する「体外照射」による治療を行なっています。また、化学療法と組み合わせた化学放射線療法などの集学的治療も可能です。放射線治療部門では、放射線治療専門医を中心に各種認定資格を取得した専従の専門スタッフによるチーム医療をおこなっています。
<担当医> 常勤 放射線治療医、長崎大学放射線科派遣医
<認定資格>放射線治療専門医、医学物理士、がん放射線療法看護認定看護師、放射線治療専門放射線技師、第一種放射線取扱主任者、放射線治療品質管理士

第1放射線治療室
第一放射線治療室
1 synergy
第二放射線治療室
machiai
待合室

放射線治療とは

放射線は生物の細胞に対し殺傷効果を持ちます。放射線治療とはこの殺傷効果を持つ放射線を患部にあてることにより治療を行う方法です。主にがん治療に用いられており、手術・化学療法(抗がん剤)と合わせて、がん治療の三本柱といわれています。放射線治療では患部のみに放射線を集中することにより、周囲正常組織への障害を極力避けます。放射線治療は手術と同様に局所治療ですが、患部周囲の機能や形態を温存したまま治療出来ることがその特徴です。

主な対象疾患

・乳がん・肺がん・脳腫瘍・頭頸部腫瘍・前立腺がん・悪性リンパ腫・食道がん・転移性腫瘍(脳転移、骨転移等)

放射線治療の進め方

  1. 診察
    放射線治療医が診察結果をもとに治療方針を決め、治療の内容・効果・副作用について説明します。
  2. 看護師によるオリエンテーション
    看護師より、治療中の日常生活における注意事項、治療の副作用や皮膚のケアについて説明をおこないます。
  3. 治療計画用CT撮影と固定具作成
    治療計画のためのCT撮影では診断の為のCT撮影と異なり、治療時と同じ姿勢をとって頂き撮影を行います。当院では大口径の専用CTを使用することで実際の治療時と同じ体位・固定具をつけて撮影することが可能です。また、治療時に同じ姿勢がとれるよう皮膚にマークをつけ、固定具の型取りを行います。
  4. 治療計画
    keikakuCT
    治療計画専用CT
    koteigu01
    頭頸部固定具
    koteigu02
    体幹部固定具

    治療計画CTの画像を用いてコンピュータシミュレーションを行い、最適な治療プランを決定します。作成したプランは模擬ファントムで実際に測定して精度を確認します。

  5. 毎回の治療
    2 SRD2
    3  SRSSag
    脳腫瘍の治療計画
    4  SRSCor

    治療計画で描いた皮膚マークや作成した固定具を用い、治療装置の寝台上で治療計画時と同じ姿勢をとります。X線写真等で体の姿勢・位置確認をしながら放射線治療を行います。 治療内容により異なりますが、1日1回の治療を10日から40日にかけて行います。 1回の治療時間は15分程度です。

  6. 治療中の診察
    定期的に診察を行い、治療効果の評価や副作用のチェックを行います。

がん放射線療法看護認定看護師によるケアとサポート

放射線治療を受けられる患者さんの毎日のケアは、認定資格をもった看護師を含むがん治療センターの看護師が行います。放射線治療医との緊密な連携の元に、主治医および病棟看護師・外来看護師と協力して治療中の有害事象にも対応しています。また、院内の各種専門職とも協調して可能な範囲で症状の緩和や精神的サポートの支援も行っております。

安全な放射線治療を提供するための取り組み

放射線治療ではお薬の治療と同じように、医師が処方した適切な量の放射線を人体へ投与することが大切です。そのためには、放射線を正確に測る必要があります。当院では定期的に公益財団法人医療原子力技術研究振興財団にて放射線の測定器の感度を確認し、同財団が行う線量評価プログラムに参加することで放射線を測定する正確性を評価し、放射線治療の安全を担保しています。また、装置の性能を維持し、安全と事故防止のために品質管理室を設置し、専従のスタッフが精度管理を行っています。

校正実施証明書
治療用線量計
校正実施証明書

hoshasenchiryo-sokuteijisshi-2022
第三者機関による
測定実施証明書

紹介を希望される医療機関の方へ

紹介は院外からも広く受け付けております。当科では病棟を保有していませんので放射線治療のために入院を要する場合、当該疾患を専門とする院内の各科に協力をお願いしています。受診は予約制となっていますので、患者さんのご紹介は地域医療連携室へお問い合わせください。

yoyaku
予約手順のフローチャート

放射線治療実績

2024年度

2023年度

2022年度 2021年度 2020年度
脳・脊髄腫瘍 0 0 0 1 0
頭頸部腫瘍 2 1 1 1 3
食道癌 0 5 3 6 7
肺癌・気管、縦隔腫瘍(うち肺癌) 70(66) 49(49) 40(38) 37(37) 37(31)
乳癌 50 51 44 50 50
肝臓・胆嚢・膵臓癌 8 4 7 4 4
胃・小腸・大腸・直腸がん 7 7 6 5 11
婦人科腫瘍 6 2 4 12 4
泌尿器科系腫瘍 54 45 47 49 45
造血器・リンパ系腫瘍 4 6 4 6 6
皮膚・骨・軟部腫瘍 2 3 5 7 1
その他(悪性腫瘍) 4 2 1 0 1
良性疾患 1 1

2

0 0
小児腫瘍(15歳以下の小児) 0 0

0

0 0
新規放射線治療患者人数(新患) 175 178 162 188 169
放射線治療患者実人数(新患+再来) 208 200 202 222 206